「あのー…。いい加減やめていただけません?」

と、少年。

対し、ぎろりと睨んでマンフール。

「別に構わねえじゃねえか。命の源なんだから。」

「…じゃあ貴女はどれだけ生きるつもりなんですか!!食べ過ぎですよ!!何なんですか!!食料が底をつきそうなんです!」

マンフールは、易々と言い返す。

「じゃあ、あいつにも言ったらどうだい?」

マンフールは親指で後ろを指した。

少年はつられて見る。

「…。」
「ふう。この家ともお別れか。」

と、マンフールは言った。

そして付け加えた。

「よし。待ってろ。絶対戻ってくるからな。」

そういうマンフールの目は、強い希望を放っていた。

-第三章『技術との出会い』
…そして夜が明けた。

「…ぃ。…い。…おい!」

…なんだ…?

少年は夢うつつで考える。

頬が痛い。
ひどく腫れてるようだ。

目を開ける。

「…。」

一瞬、目の前に誰がいるのかわからなかった。

呼びかけている人物は、なおも怒鳴りながら少年の頬を力一杯叩いている。

いや、殴っていると言った方が良いかのような勢いだ。

「…。…何やってるんですか。マンフールさん。そして僕の頬がものすごく膨らんでるんですが…?」

すると、寝ていた少年を苛めていたマンフールは、漸く殴るのを止め、言った。

「お前1日の間にめちゃくちゃ太ったなあ。しかも顔だけ。ま、あたしのせいじゃねえからな。」

他人事のように、しらばっくれた。

少年は黙るしかない。

「おら。早く行くぞ。旅に出るんだろ?」

「早過ぎやしません…?」

正直に言ったのだが、マンフールは信じられないというように言った。

「なに言ってんだ!もう朝の4時半だぜ!?どういう神経してんだ、お前。」

「…タフですね。」

無理に笑顔を作って言った。

しかし、
「おーよ。あたりめえだろ。」
と胸を張って言われてしまった。

少年は多少落ち込んだ。

どうやら皮肉は通じないらしい。

少年は諦め、旅の支度をした。