つれづれレミゼ -22ページ目

つれづれレミゼ

2007年レミゼデビューを果たした初心者が、レミゼや舞台に対して思うところをつれづれなるまま書き記す場所です

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英 「しかし才谷、今もしも、老いさらばえた無意味な人間と、若きみずみずしい人間とがいるとする、誰でもいい、そうだ、あの溜水と妹の智のいずれかが、この世に生きるべきかという決定を、おまえの手にゆだねられたとしたら、どう? どちらが死んでいいの? どちらを死なせる? 」
才谷 「そんなことを聞いてくる気がしたよ」
英 「どちらに決める」
才谷 「決められないことを、どうして聞くんだ」


~野田秀樹「贋作・罪と罰」(解散後全劇作収録)より~
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連休のうちに大竹筧版の映像を見、脚本を読みました。「天翔ける風に」とは雰囲気も、テーマすらも違っているように感じられ、とても興味深かったです。文章にするのに時間がかかりそうなので、それはまた別の機会に。

野田の本は、本当に綺麗な言葉たちがちりばめられていてとても好き。「今すぐ外に行って~」の台詞も、「女が男を待つんじゃない。男が女を~」の台詞も、やっぱりこうやって活字で読んでも、とても美しい。でも、それ以外にも些細な台詞のはずなのに、胸にひっかかって忘れられなくなった台詞もあります。それが、引用した部分のところ。


「そんなことを聞いてくる気がしたよ」という台詞。読んだとたんに心臓がぎゅっと締め付けられるような気持ちになり、なんだか泣きそうになっちゃった。今も思い返すたびに、胸が痛みます。銀さま才谷の声で再生されちゃったんだよねー。銀さま才谷って、この台詞がとても哀しそうで痛みに満ちていた気がするんです。そして、その哀しみこそが、才谷の英への思いのように思えてならない。


このシーンでの英って、殺人を罪だと糾弾する「心」と、罪ではないという「理想」との間で雁字搦めになって、まるで自分の身を切り裂くかのように感情を暴走させている。才谷は、そういう英を見るのがつらいのかな。理想の迷路に迷い込んで、「死んでもいい人間などいない。誰は生きろ、誰は死ねなんてなんて決められる人間はいない」というシンプルな命題を見失っている英を目の当たりにすることが、とても苦しいのかな。その気持ちが「そんなことを聞いてくる気がしたよ」という台詞の中に込められて、とても哀しい台詞に聞こえたのかな……。


さらに重ねて思うのは、それは英に対してだけ向けられた哀しみではなかったのかも。「誰もがひとつの理想を求め江戸の町を走りまわっている」とつぶやいた才谷(これ、天翔けるでは歌になっていたような?)。この言葉にも、同じ哀しみを感じたから。「何万の理想と1つの命を引き換えにしても構わない」と走り回る人々、ひいては時代に対して向けられた、痛み、なのかも。




なんて。たった一つの台詞だけで、いろいろ妄想しすぎです。銀さまが哀しみを背負う役が似合うからって、脳内でぐるぐる考えているうちに勝手に脚色してしまっただけのような気します。才谷って別にそれほど哀しい役ではなかったはずだものね。飄々と軽やかな風のように生きている人だったもの。


あああ。それにしても、もうあと何回か観たかったなー。こういう風に、いろいろ考えたことを踏まえて、もう一度舞台を観られたら、きっと沢山の発見があるだろうに。とても残念です。最初「天翔ける風に」を見たときは若干のりきれなくて、でも2回目見たらきっとすごくハマルんだろうなぁと思っていたけど、案の定ですよ!あああ…せめてTV放送してほしいなぁ…

石井一孝/岡幸二郎/鈴木綜馬/伊東恵里/和音美桜

演奏/新日本フィルハーモニー交響楽団
指揮/竹本泰蔵


すみだトリフォニー12列上手


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1部
・シーズンズ・オブ・ラブ/『レント』/ALL
・愛せぬならば/『美女と野獣』/鈴木綜馬
・アイ・フォール・プリティ/『ウエスト・サイト・ストーリー』/和音美桜
・サンセット・ブルーバード/『サンセット大通り』/石井一孝
・愛した日々に悔いはない/『コーラスライン』/伊東恵里
・シーイング・イズ・ビリーヴィング/『アスペクツ・オブ・ラブ』/岡幸二郎&和音美桜
・ラック・ビー・ア・レディ/『ガイズ&ドールズ』/鈴木綜馬
・私はイエスがわからない/『ジーザス・クライスト・スーパースター』伊東恵里
・ゲッセマネの園/『ジーザス・クライスト・スーパースター』/石井一孝
・明日への階段/『ルドルフ』/岡幸二郎


2部
・ブイドイ/『ミス・サイゴン』/オーケストラ
・ホワイ・ゴッド・ホワイ/『ミス・サイゴン』/石井一孝
・すべての山に登れ/『サウンド・オブ・ミュージック』/岡幸二郎
・アイ・アム・ザ・スターライト/『スターライト・エクスプレス』/鈴木綜馬&海宝直人
・オール・アイ・アスク・オブ・ユー/『オペラ座の怪人』/石井一孝&和音美桜
・ソー・イン・ラブ/『キス・ミー・ケイト』/
・メイク・アワ・ガーデン・グロウ/『キャンディード』/岡幸二郎
・私だけに/『エリザベート』/伊東恵里
・闇が広がる/『エリザベート』/鈴木綜馬&石井一孝


アンコール
・エニィ・ドリーム・ウィル・ドゥ『ヨセフと不思議なテクニカラーのドリームコート』/ALL


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☆耳福で贅沢な2時間でした。このコンサート、いったい誰がどういう経緯で企画したものか知らないのだけど、とても素晴らしかったので、是非次もお願いしたい!


☆今回のオケは74人のフル編成で、最初会場に入ったときステージ上の椅子の多さにまず「おおっ!」と思って、コンサートが始まって音圧にまた再び「おおっ!!」と思った。弦の人数が多いので、音に厚みがあってとても贅沢。でもその音の厚みに負けない歌い手も素晴らしい。


☆やっぱり岡さんの歌声が私はとっても好きだなぁと改めて再確認しました。響きがすごく好き。多分、自分が習っている発声メソッドで「よい」とされている歌い方にとても近いんだと思う。クラシックの発声に近いように思います。オーケストラの音の上で、違和感がないのもそのせいかなー。


☆以下、感想を順不同で。


☆まずは、岡さんの「明日への階段」。これ、散々去年ルドルフで聞いていて、曲自体がとても好きなんだけど、こうやって派手なオーケストラの音源で歌うとさらに映える。そしてまた岡さんの歌声はやたら説得力に溢れた美声なので、「ともに築こう、新たな世界を」とか歌われると、つい「はい、ついていきます!」という気分になるという(笑)


☆岡さんといえば、出てくるたびに衣装替えしていました(笑)。本人もラストのトークで「衣装に命賭けてました」って行ってた(笑)


☆石井さんの「ホワイ・ゴッド・ホワイ」が聞けたのは嬉しかったなぁ。まっすぐで熱血な雰囲気のクリス。石井さんのクリスってこういう感じかーと思いながら聞きました。


☆伊東理恵さんは「私はイエスが分からない」がとても素敵だった!サビの部分で歌いながらほんの少し腕をつかった振りを入れるのだけど、たったそれだけで、まるで舞台を観ているかのように感情が引き込まれました。芝居の中で歌うのと、こういうコンサート形式で歌うのとでは、歌い手としても気持ちの作り方が違うと思うのだけど、今日の出演者の皆さんは、ほんの一瞬、ひとつのきっかけだけで空気を作り出す力があってすごいなーと感心。


☆和音さんは最近よくあちこちでお名前を見かける方で(売り出し中なのかな?)、とても歌が上手との前評判を聞いていたので楽しみにしたのですが、確かに素晴らしかった~!彼女もクラシック風の響きで歌うので、岡さんとのデュエットの相性がぴったり!二人で歌った「アスペクツ・オブ・ラブ」の歌は、ほんともううっとりしながら聞いていました。願わくば、「オペラ座の怪人」のデュエットも岡さん&和音さんでやってほしかったなー。そして、「私だけに」もできれば彼女に歌ってほしかったです(伊東さんは高音がやっぱりつらそうだったので…)


☆パンフレットに載っているのを見て誰が歌うんだろうーと楽しみにしていた「闇が広がる」。予想外に綜馬トートに石井ルドルフでした。あー、でも、これだったら逆が観たかったな!綜馬さんの歌声はとてもノーブルで柔らかいので、どちらかというとルドルフに合っていると思うの。対して、石井さんの歌声はエネルギッシュだし、ケレン味のある歌い方もできるだろうから。ビジュアル的にも、逆のほうがしっくりくるような。

ジェーン・エア…松たか子
ロチェスター…橋本さとし

ブランチ・イングラム…幸田浩子
フェアファックス夫人…寿ひずる
スキャチャード他…旺なつき
リード夫人他…伊東弘美
ジェーンの母他…山崎直子
シンジュン他…小西遼生
メイソン…福井貴一
ブロクルハースト…壤晴彦


日生劇場2階I列センター


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☆「THE 松たかこ」な印象の芝居でした。松さん、最初っから最期まででずっぱりで存在感はぴかいち。それに比べると、さとしロチェスターの印象がちょっと薄いかも。台詞のときはしっかり重みがあってよいのですが、歌になるととたんに薄くなっちゃうのですよねぇ。レミでもサイゴンでも、さとしさんは歌を台詞のように語ることで存在感を出していたけど、今回ばかりは、しっかり歌唱の中で存在感をだして欲しかったなぁ。でも、自分は「ジェーンとロチェスターの物語」ではなくて、「ジェーンの物語」と思って観ていたから、ロチェスターの存在感の薄さはさほど不満には思いませんでした。むしろ、ジェーンを中心だと思ってみていると、このバランスでいいような気がする。


☆お話しは私は結構好き!ちなみに私、原作は読んでいないので、この舞台から得た情報だけが全てです。観ながら頭に浮かんだのは、「誰かを愛することは神様のお傍にいることだ」というフレーズ。これはレミの中の言葉だけど、きっとこのころのヴィクトリア朝の信仰に生きる人たちの価値観でもあると思うんだよね。だから、子供のころ虐待されて愛を信じられなかったジェーンが、ヘレンに出会って神の愛を知り、そして今度はロチェスターと出会って、(様々な逡巡はあるものの)最終的に自分の愛はここにあることを見つけた=神様のお傍で生きる道を見つけるっていうところが、とてもいいなぁ。


☆それにしても、ロチェスター、駄目な男だ!!そして天然のタラシ!!「僕を一人にするのかい?」という言葉はずるいなー。でも、きっとジェーンみたいな聡明な女性は、こういうどこか頼りない駄目な男性に惹かれちゃうんだろうなぁ。しかし、結婚式でメイソンの告白がなかったら、そのまま重婚するつもりだったの!?と、そこは心からつっこみ。神に対して深い信仰を持っているジェーンにとって、それってかなり苦しいことなのでは。あまりのロチェスターの駄目男っぷりにいらいらして、ちょっと石を投げたくなったよ。


☆同行の友人は原作を読んでいて、原作のロチェスターは大分印象が違うとのこと。もっと知性や教養があり、また自分の背負うものに対して深く悩み、そういうところにジェーンは惹かれるんだって。舞台版で大分印象が違うのは、演出家の意図なのかな、それとも役者の味わいの違いなのか。私はロチェスターの弱さも含めて愛するジェーンが結構いいなぁと思ったので、このロチェスターでもよいんだけどね。


☆あ、そういえば小西君は出番はちょっとだったけど、相変わらず見目麗しく、目の保養でした。カーテンコールのフロックコート姿が似合うー!そして歌がとても上手くなっていた!彼のマリウス、何気に一押しマリウスだったりするので、レミが楽しみだな~。


☆あと、照明とセットがとても好きでした。舞台の奥にはヒースの森の広がりと四季の移ろいを感じたし、また床に投影される照明で、一瞬にして石畳や石張りの床をイメージさせて、とても素敵。(でもステージシートはいらないと思う)