エンジニア…橋本さとし
キム…新妻聖子
クリス…井上芳雄
ジョン…岸 祐二
エレン…鈴木ほのか
トゥイ…神田恭兵
ジジ…菅谷真理恵
帝国劇場 2階L列下手
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☆今日は感じるところの多い、よい舞台でした。役者さんたちの熱演に加えて、自分のテンションがうまく舞台にかみ合っていたんだと思う。初日以降、ずっとオペラグラスを使って、役者の表情を見続けていたんですが、今日はほとんどオペラグラスなしで、歌から伝わる感情に気持ちを寄り添わせながら観てました。沢山泣いて、観終わったあと、しばし脱力。
☆芳雄クリス、今日はなんだかこれまで観たときよりも若い感じがした。電話で「ありがとーっ!」ってのが可愛
いし、結婚式のシーン、着飾ったキムを見る目がにっこにこで完全に鼻の下のびてるのも、キムにべた惚れなんだなーって感じでよいです。「結婚っ!?」も今までよりもリアクション大きく、ちょっと笑いそうになりました(笑)。トゥイが乱入してきたときも、「大丈夫、大丈夫」って、周りを落ち着かせたりしてて。初日と24日とが、どうも落ち着いて大人びたクリス(逆にいえば、妙に冷めていたクリス)という印象だったから、今日の、素直に感情を出すクリス像もいいなー。
☆今日は、ベッドでうなされるところのシーンで、今まで気づかなかったことをいろいろ感じ、じんとしました。芳雄クリス、悪夢にうなされて目覚めたあと、肩にまわされたエレンの手にそっと自分の手を重ねるんだけど、すぐにその手を離し一人悩みのなかに沈んでしまう。エレンはそんなクリスを背中からしっかりと抱きしめる。クリスが確かにエレンに救われていること、だけどそんな妻にさえ吐き出すことができないほどの罪の思い、ベトナムの悪夢、そしてエレンがクリスを思う気持ち、いつか話してくれるとクリスを信じる気持ち、あの短いシーンの中で、それぞれの気持ちが伝わってきて、切なくなったよ(今日はあんまり観ていなかったけど、これに加えてさらにキムの気持ちを考えると、もっともっと胸が痛い…)
☆岸ジョンの芝居も今日じっくり観ました。岸さんって、誠実な雰囲気があるので、女を買うとかってあんまり似合わないなーとか思っていたのだけど、ちゃんとそこはそれっぽい雰囲気になっていて、おお、と感心しました。本人のブログに、「まずはアメリカ人であることに苦労している」ってあったけど、その苦労の成果なのかなー。ブイ・ドイは、初日に見たときは、ところどころ溜めたり強調したりがあって、それが気になったのだけど、今日はそれがなくなってました。誠実で熱血なジョンで、やっぱり二幕のほうが合いますねー。
☆芳雄クリスとは、こないだの岡ジョンとの気持ちのつながりのほうが強く感じたかなー。24日は、芳雄クリスがあまりエレンと気持ちが通じ合っているように思えなかったせいかもしれないけど。
☆初日から2度目の新妻キム。初日に観たときは、全体的に声を張って歌っているように思ったんだけど、今日は、強さのあるシーンでは強く、弱さのあるシーンでは繊細に歌っていて、それによって、より胸にせまるキムでした。印象に残ったところ。「♪身の上話今聴きたいの」のところ、怒りをぶつけるのではなく、慟哭しているようだった。トゥイを撃ったあとの叫び声、、四人の中で一番胸が引き裂かれる。
☆神田トゥイもすごくよいですねー。撃たれて倒れるところ、顔はずっとキムを見続けていて。キムはそこから目を離せなくて。あれだったら、死んだときの顔、夢にでてきちゃうっての、判るな…。神田トゥイは、泉見トゥイに比べると、狂気の感じが薄いせいか、きっともともとはキムと普通に仲がよかったんだろうなって思えて、それがかえって悲しかったな…。
☆さとしエンジは今日も軽やかで楽しい。けど、楽しいは楽しいんだけど、エンジニアって、これでいいのかな?とちょっと思ってしまいました。軽すぎるのかなぁ。楽しいのはいいけど、その底に、エンジニアという男の生き様をちゃんと見せて欲しいな。市村エンジニアって、何かに飢えていて、それが彼をつき動かしているように感じた。筧エンジニアは、泥水すすっても、俺は生き抜いてやるぜ!という強さを感じた。別所エンジニアは、色紙に書かれていた「俺もブイ・ドイ」という言葉が鮮烈。見捨てられた自分が成り上がることで、世間に俺を認めさせてやるぜ、という気持ちが感じられた。さとしエンジニアは、あまりにもさとしさん本人のキャラ(芳雄くんいわく、「生まれながらのポン引き」だそうです)に合いすぎていて、逆に、エンジニアという人物の生き方が、うまく伝わってこないな。レミで、悩んで探りながら作り上げた「ネオ・バルジャン」が、とても胸に響いたので、是非ここは「ネオ・エンジニア」として、深い生き様を見せていただきたいところです。
☆しかし、サイゴンは、舞台の出来がよければよいだけ、観終わったあと、気持ちが引きずられてちょっぴり欝っぽくなります。だって救いがないんだもの…。みなそれぞれの弱さはあっても、決して悪人はいない。戦争に翻弄されたがゆえの、悲劇。