2019年9月20日にリリースされた、リアム・ギャラガーの2ndアルバム『Why Me? Why Not.』。
正直言うと「そこまで」期待していなかった。
前作がセールス、評価の面で非常に良く、復活作だったことは周知の事実であり、個人的にも嬉しかった。ライブにも足を運んだ。
ただ、前作を繰り返し聴いたか、というと「そこまで」でもなかった。好きな曲は?と聞かれても「そこまで」はない。すなわち、自分には「そこまで」のアルバムではなかった。
だから、2ndが出ると聞いた時も、先行配信のShockwaveが出た時もその期待度は変わらなかった。
しかし、2曲、3曲と先行配信され、アルバムのオープニング3曲が揃うと「これはひょっとすると…」という気持ちが芽生えてきた。
その反面、この3曲以降の失速がないかという心配もどこかにあった。
そして、今に至る。
ごめんなさい、リアム。
「そこまで」のアルバムでした。
本当に素晴らしい。
心配していたオープニング3曲後の
「Now that I've found you」。
これ、好きです。
リアムソロで初めてはっきり言える曲かもしれない。
(MTV Unpluggedのパフォーマンスは更に良い!)
疎遠だった娘さんと復縁したことを歌った曲らしいが、オアシス時代にはなかった人生経験の深みなのだろうか、暗闇から見えた光、それに対する喜びが感じられる。
また、同曲では女声コーラスが効果的に使われているが、今作は全体的にコーラスやストリングスが非常に上手く配置されており、楽曲の幅を広げている。
そもそも前作ではリアム節のロックが多めな部分もあったが(それでもかなりコントロールされていたが)、そちらも解消されており、同じような曲が続くということがない。
例えば、5曲目のHaloではホンキー調のピアノ主体でBeady eye時代の「Bring the light」を思わせるが、アレンジや楽曲の展開が練られており、最後まで一辺倒ということもない。
これらの変化は、今作からリアム単独作を無くし、作詞作曲を全てチームとして完成させた成果なのだろう。
もう一つ個人的に好きな曲がラストの「Glimmer」。
日本語で"微かな光"という意味らしいが、微かどころか眩しいほどの希望で満ち溢れている。
そんな今のリアムの心境を映し出すかのような曲だ。
思えば、2ndリリース前にリアムが「オアシスで言うMorning Gloryのような作品になる」と語っていた。
今は強ち嘘ではなかったと思っている。
となると、次作は「Be here nowか?」と邪推してしまうが、そんな心配は無用だろう。
なぜなら、栄光と挫折を何度も味わった「今」のリアムギャラガーがここにいるからだ。
Why Me?
その答えはこれで十分だろう。
Why Not.