電子書籍で出版した「網走五郎・神社物語」、今日の掲載は  (21) 神職資格を取得 。

 

  (21) 神職資格を取得

   大阪国学院は通信教育で自学自習が主である。神社神道概説、神道史、古事記、祝詞講読、祝詞作文、神社祭式、関係法規、神社有職故実、日本史、神社奉務、書道、神社実務、民俗学を自分で学び、期日までにレポートを提出し添削をうけ、夏と秋には4日間のスクーリングがある。スクーリングでは祭式作法、禊錬成行法の実技指導を受ける。

   更に年に2回、中間テスト・期末テ ストがあり、試験をクリアした者に直階という神職資格が授与される。

   五郎は毎日4時間をレポート提出の勉学に充て、一年後直階の神職 資格を取得した。

    沖縄県護国神社に勤めてから三年が経過していた。神社本庁に加入していない神社の神主は、無資格で仕事をしても法には触れないが、地鎮祭等外祭に行く時は常に心が痛んでいた。

   神職資格を取得した五郎は、ほっと安堵の胸を撫で下ろした。

   2年目には更に上の階位、権正階課程へと進んだ。権正階とは中小神社の宮司になれる資格である。

   ここでは神社神道概説、神道史、古事記、祝詞講読、祝詞作文、神社祭式、関係法規、神社有職故実、日本史、神社奉務、書道、神社実務、民俗学に加え、神典講読、神道教化概説、宗教概説、神社建築、倫理概説を学び権正階の資格を取得した。

   大阪国学院でかかった費用は入学金・受講料・教科書代・スクーリング代・航空運賃代、ホテル代等、年間で優に百万円を超えていたが、全額を沖縄県護国神社が賄ってくれた。

   五郎と一緒に採用された老神主下地純一はユタ(沖縄の祈祷師)出身で、神職資格は沖縄復帰特別措置で僅か2週間の講習で取ったものであるため、神社としては正式に神職教育を受けた神主が欲しかったのである。