おはようございます。除雪作業を中止して休憩。
昨日の市議会での議論に触れる前に少し現在の状況についてまとめて最後に地方創生について触れたいと思います。

さて、服部茂幸・福井県立大学経済学部教授が書かれた「アベノミクスの終焉」は岩波新書からの発行。
http://www.tokyo-np.co.jp/article/book/shohyo/list/CK2014090702000181.htm

この本は、客観的なデータを用いてアベノミクスが機能しなかった現実を解説しています。
その第1は、いわゆる第一の矢と呼ばれる金融緩和によって行った円安誘導下で輸出拡大に成功しなかったこと。

同書には、「金融緩和の目的の1つは円安によって輸出を拡大させること」であったこと。経済ブレーンが「日銀が金融緩和によって円高を防がないでいることが、日本の製造業の国際競争力を損ね、苦境を作り出している」と考えていたことが記載。

さらに、安倍総理も、2013年4月の党首討論の中で、13年度の経常収支が間違いなく4兆6千億円の黒字になる。そして、それは間違いなく賃金に変わると断言していることが書かれています。

しかし、首相のそれは見込み違い。
実際には輸出増で増加するはずの13年度の経常収支は8000億円の黒字にとどまりその差は3兆8千億円の見込み違いが生じていました。

さらにしかも今年度の第一四半期の経常収支は1兆4千億円の「赤字」に転落。1年これが続くとしたら5丁を超える赤字になる可能性すら出ているわけで、これを言い換えると「円安で輸出に有利のはずなのに輸入額は増加し、日本の富は海外に流出している」状態で、内需の減退を招いているというのが現在の政策ということになるかと思います。

この状態を続けてもプラスに転じる可能性は少なく、第二の矢と呼ばれた財政支出が、付加価値額の高い産業であり、地域の機能維持と経済循環のために必要な医療、福祉、教育に行われなかったこと。
同じく付加価値額の高い産業で、円安の流れで良くなっている外国人観光客を中心とした観光産業などに対して充分でなかったことなどから、地域経済に対してそれほど大きな経済波及効果を生まなかったことなどからさらに景気を失速させたのだといえるでしょう。

また、第三の矢については現状では何も進んでいない状況。地方創生という耳障りの良い言葉が先行していますが、これが第三の矢なのだとすればどこまで進められるような予算組みになるのか。状況を見極めなくてはなりません。

この点については、網走市議会で昨日、一般質問の中で議論をさせていただきました。
網走市ではまずは「付加価値額の高い産業」に対しての支援を行うことが先決で、それは福祉、医療、教育、飲食業や宿泊業などのサービス業がこれに該当します。(人件費比率の高い産業と捉えることもできるでしょう。)

これらのサービス業にはもっとお金をかけるべきで、特に飲食業と宿泊業については「人手をかけてブランド力を高めてマージンを増やし、付加価値額の上昇につなげる」(医療や福祉などから見ればより安心感を高める)という流れを作り出すことは雇用の増加と可処分所得の増加につながって地方の消費が増加に転じて景気が上向くという流れを作り出すことが可能になる政策となります。

また、生産年齢人口の減少は大都市でも始まっていることからも、網走市から生産年齢人口を流出させないという政策が重要で、そのことは子育て支援策との親和性があることから併せて検討しなくてはならない課題となるでしょう。

いずれにしても、国の政策展開を待たずに積極的に事業提案していくような姿勢が網走市には求められているのだと思います。l