テレビでも台湾がEUとFTAを締結したとの報道がなされています。
これからの台湾の基本戦略の一つになると訪問時にも伺っていましたのでこれからどんどんひろがることでしょう。

農産物などの特定品目はしっかり除外したうえでのFTA締結は、日本でも必要になってくるもの。
与野党問わず、冷静に議論を進め、農業者や漁業者の不安を取り除く努力をしっかりと行ったうえで日本でも進める必要があるのは間違いないことだと思います。

以下、台湾訪問時の特別講座の報告です。

両岸経済協力枠組取決め(ECFA)締結の東アジア安全保障への影響

何思慎 輔仁大学日本学科教授

1、ECFAの政策目標
台湾の競争力を強化するためにも必要。
日本・韓国、中国、東南アジアの中間に台湾は位置している。
この位置のメリットを生かす必要がある。

中南米・カリブ11
南米1
アフリカ4
南太平洋6
欧州1
国交のある国は上記の23カ国

東南アジア初のFTAがECFA。日本にFTA戦略にも啓発作用をもたらすと考えている。

日本やアメリカは、台湾とのFTA締結を急ぐべきと考えている。
その理由は以下の通り。
・外国企業をひきつける力を増す。
・韓国などにとっては中台のECFAを「大きな損失」と危機感を持って捉えている。
・「台湾を発展させ、アジア太平洋地域と連携して世界に進出する」経済戦略を構築するために必要だった。

伝統産業は斜陽産業ではない。
革新と開発で付加価値をつける、競争力をつける取り組みが必要である。

経済を発展させ雇用を促進させる効果が高い。
輸出を強化し、国内投資増化(外資含む)、大陸間の貿易活性化、主要貿易相手国ほど効果は高いと考える。台湾にとっては、米国・日本・EU・ニュージーランド・オーストラリア・ASEAN諸国になる。

○協議経過
2009年2月~12月までが主な協議期間。
交流基金と両岸関係協会で10回以上に渡る専門家協議を2010年に入ってから実施。


○ECFAのメリットとデメリット
基本的にはメリットのほうが多いと考えている。

デメリットは以下の通り。
競争力向上になるのか。
地域経済統合への参加足心につながるか。
諸外国とのFTA促進につながるか。
投資促進になるか。
農水産物対中輸出後押しになるか
※上記の5点すべてを比較検討した結果、メリットのほうが大きいと判断した。

伝統産業や中小企業、内需型産業へのマイナスについては政府が万全な対応策を定める必要がある。

※農産物についてはさらなる解放はしないことを明記してあるため心配はない。

中国との締結で、GDPを1.65~1.72引き上げると予測している。

○主権と政治議題が棚上げされたECFA

東アジアの秩序は変えられるのか?
・日本では懸念があると考えているようだが、台湾では中国の覇権を広げる懸念はないと考える。
・しかし、中国の思惑通りに万が一なれば位置づけは変わる。日本も注視する必要はあるが、経済の一体化(経済統合)が政治統一に進むと短絡的に考えるのは誤りだと考える。
・北京、台北、ワシントンの三角関係によって台湾の現在と将来は決まる。
・米国13.5% 中国20.5% アジア49.6%の貿易比率(日本)

平賀質問
日本は食糧輸入国。特に北海道としては危惧を抱くがFTAについてどう考えるか。
・中国は台湾への農水産物輸出を拡大しないことについては合意しているが、日本に対して譲歩するかは疑問がある。
・よってまずは台湾と協定を締結し、それをもとにして諸外国との交渉に当たるのがベターではないか。

※平賀私見
たしかに日本と台湾とで重なる作物は一部例外を除いてあまりないと考える。特に北海道に対する影響は皆無であろう。だとすれば、台湾とのFTA的な協定締結は北海道経済に大きなプラスになる可能性を秘める。これは北海道選出の国会議員に対してレポートを提出するなどして協力に働きかけねばならない。
亜東関係協会の札幌出張所等と連絡をとり、11月にでも若手地方議員を集めた勉強会を立ち上げるべく動こうと思う。