去年の初冬、君の病が発病して、
僕が初めて訪れた病室で、
君は照れ笑いしていたけど、

それからしばらくして―
君は僕を避けはじめた。

君のお母さんから、君が泣いてばかりいた って後で聞いたよ。
 
     どうして あたしなの? って
     どうして 今なの? って

それでも病と向き合うしかない孤独で辛い時間を
君は一人乗り越えて―――


久々に会った君は
病気には負けないよ、  なんて
僕が準備していた君を励ます言葉を無駄にするほど、
意気込んでいた。


それでも
日々、君の病は君の体力と気力を奪っていく―――
病院に自転車で通う僕とは対照的に―
君は痩せていき、青白くなっていく。



がんばれ
という僕の言葉が虚しく響く。


君自身、病に立ち向かい
これ以上何をがんばれば、
どうがんばれば、君はよくなっていくのだろうか?
無責任に がんばれ と言うことさえ恐ろしくなっていく
この僕にいったい何ができるのだろう・・・か?  


結局、君に会いに行くことしかできない僕・・・
見守ることしかできず、
いや実際君を病から守れない僕に何の意味があるのか、
僕自身も答えがでないまま・・・

季節は春に近づいていた。

 

 

つづく

素材:MIYUKIPHOTO