仕事のお悩み | 負けるが勝ち犬

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40歳を前に突然会社を辞めてしまった女、独身。しかし、ここからが真骨頂の「リアルタイムサクセスストーリー!」…勤労意欲をなくすこと1年10カ月。のち、不惑にして東京デビューの荒技に出るも、2年後の春にリストラに!またまた崖っぷち~!

31歳既婚女子は、人間関係というより、どちらかというと仕事上でのお悩み編である。

バイトで、3か月前から、広告代理店につとめた彼女。

小さな会社のようで、彼女は、みなさまのサポート役として、いろいろな仕事をまかされるようだ。

そこで困ったオヤジさんがいるという。

一言でいえば、超完璧主義で超慎重派(あれ、一言になってねーや)えへへ…

完璧主義で慎重ってのは良いことなのだが、なにごとも過ぎたるは及ばざるがごとしという状態だという。

新たな仕事を開始するにあたって、オヤジさん以外のみなさまは、どうやって仕事をうまくすすめていくかの方向で発言するのだが、オヤジさんの場合は、どこに失敗の恐れが隠されているかの指摘から入るらしい。

失敗しそうな点をあらかじめ列挙するのは悪くないことだが、このシトの場合、そうやって不安材料を延々述べて終了だから、みんなドヨーンと落ち込んでしまうのだという。

つまり、こういう危険性があるから、こういう対処も必要。

ってな、対処についてがなーんも語られないのだそうだ。

不安をあおるだけあおって、最終的に、「ということで、クライアントの指定の日までには仕上げることは厳しい」という結論になるらしい。

じつはそれは、仕事が納入日までに間に合わない場合を想定しての、リスクヘッジだということに、彼女は最近気づいたらしい。


そんなわけで、石橋を叩いて壊しかねないこのオヤジさんの仕事は遅々として進まず、そのつど、理由は自分のせいではなく、他人や他社のせいになるようである。

しかも、自分がルールブックみたいなところもあるらしく、ほかの社員がオヤジさんに名案を提案しても、いろんな理屈をつけ、最終的には、「なにかあったとき、それでお前が責任とってくれるなら」なんて言って、結局は却下してしまうという。

そのくせ、いったんその却下した名案を、締め切り間際になって勝手に採用したりなんてこともよくあるらしい。


とにかくつべこべ屁理屈ばっかこねてるオヤジさんのようで、聞いててこっちまで頭にきてしまったプンプン


見た目は10歳くらい若く見えるし、そこそこお洒落だし、ものすっごい博学だし、親切なので、最初は友人も好印象を持っていたという。

「50歳で独身てのがよーくわかる、今になると」

なんて言う彼女。

「げげ、なんだか、オ、オラ、身をつまされる~、ムジナ2号としては…」ガーン

「え、いや、違う違う、そういう意味じゃないって。ぜんぜん違うもん。オヤジさんはすっごい神経質なんだよなにごとにおいても」

「う、うん…」


先日も、こんなことがあったという。

社内の地べたに埃まみれになって置かれているテレビがあるのだそうだが、それを久しぶりに引っ張り出して(仕事で)ビデオを見ていたところ

このまま台の上にのっけて(テレビ)常設しようじゃないか!

って、みんなで盛り上がっていたらば

「地震がきたとき落ちてくる!」

って、オヤジさんが言い出し

「え、大丈夫だよ、ここ」

って、社員の一人が(無駄な)抵抗したところ

なぜそこにテレビを置いてはいけないかという理由はいつものようにダーーーと列挙し、最終的に

「NHKに受信料を払わなければならない!」

ってところまでいきついたという…。

もうみんな面倒くさいから(いつものことのようだが)

「あ、はいはい」って、解散したところ、オヤジさんはまたそのテレビを地べたに(埃もはらわず)ドカッと置いて、ご満悦な顔で自分の席に戻ったという。

オヤジさんは、けっこう人と話すことそのものが好きなようで、仕事中でも、いったん喋るととどまるところを知らないようで、急ぎの仕事をしているときなど、非常に困るという。

相手が聞いていようが聞いていまいがおかまいなしに話つづけるというから驚きである。

そんなわけで、いつもみんなが帰った後で夜遅~くまで残業しているようだ。


オヤジさんの3大口癖は


「そりゃそうですよ」(そりゃそうでしょうよ)

「私、前に言いましたよね」

「だけど」


だそうで、「そりゃそうですよ」ってのは、相手が何かすばらしい情報を仕入れてきて、それをみんなに教えていると、みんなは「なるほどー」とか「へー」とか感動しているのに、オヤジさんだけは、「そりゃそうですよ」と返すらしい。


「私、前に言いましたよね」ってのは、たとえば、オヤジさんが以前言ったことを上司が忘れて、同じことを聞いてきたときなどに、もれなく付け加えるのだそうだ。

忘れてっから聞いてんだろーが!と、友人熱くなる。


「だけど」は、ま、「でも」「だって」と言い訳全般である。


間違うことをなにより恐れ、たとえ間違っていてもさんざん理屈をこねくりまわし、焦点をずらし、相手を煙にまいてしまうオヤジさん。

そんなオヤジさんに、「どうやら気に入られちゃってて…」と友人。

気に入られるといっても、色恋沙汰ってのではない。

入社間もなく、しかもバイトという身分の彼女ゆえ、「はいはい」と、イエスマンでいたところ、それがどうやらオヤジさんには好印象の女子にうつってしまったらしい。

先日、イエスマンを返上し、勇気を出してオヤジさんの間違いを指摘してやったところ、難しい理屈をさんざんならべたてられ、話が意図せぬ方向へすすみ、気づいたら、「すみません」と、なぜか自分が謝っていたという。

ジョークもなかなか通じなくて、真剣に意見されるときもあるようだ。そんなわけで、誰しもあたらずさわらずなため、オヤジさんは天下無敵なのだそうだ。


オラと友人の結論。

「弱い犬ほどよく吠える」

「負けるが勝ち」


ところで、いまさらながら(はじめて)これを読む↓

すんごいおもしろかった!!


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