「老後の資金がありません」に続き、「夫の墓には入りません」を読んだ。
柿谷美雨さんの小説だ。
 
う~ん、考えてもみなかったが
思いがけずに夫が早く死に、その義両親や義兄弟・親戚などとの関係はどうなっていくんだろう。
子供がいる場合は、なんとなくそのまま続いていのでは?と思ってしまうが
この小説の主人公のように子供がいない場合は?
私もそうだ。どう考えるんだろう。
 
『姻族関係終了届』『復氏届』なるものを、本作で初めて知った。

『復氏届』の方は、旧姓に戻るというだけで
親族関係はそのまま、扶養義務や何某かの権利は継続することになるらしい。
ならば、旧姓に戻る心境というのはどういうところからくるのだろう。
 
『姻族関係終了届』は、強烈だ。
親族との関係を法律的に解消してしまうのだ。
離婚と同じように、扶養義務うんぬんが全くなくなるらしい。
ただし、夫との婚姻関係には影響せず、相続とか年金に関して除外されることはないらしい。
義家族との関係だけをクリアにしてしまうという意味か。
ふむ。

考えてもみなかった…というのは、嘘だ。
実は、ある意味切実な問題でもある。
夫には、兄がいる。両親はもういない。
彼は結婚していないから、おそらく子供もいない。
夫とは3歳違いだ。
ということは、夫が先に逝くことになっても何の不思議もない。
夫と一緒であれば、彼の老後を共に歩むこともできるかもしれないけれど
その時、夫がいなかったら。

いずれ考えなくてはいけない問題だろうと思う。
とはいえ、私にはもっと切実な問題が。
『血族関係終了届』なるものは、ないだろうか。
 
兄は、実の息子がいるからして大きな問題はないだろう。
私に余裕があれば、いくばくかの経済負担をしてあげられたらと思う。
 
問題は、父親だ。
小学生の時に家を出ていった。両親はその後離婚した。
父には20歳くらいの時、祖母のお葬式で会ったがそれきりだ。
今、どこでどんな風に暮らしているか…まったく知らない。
 
本音を言えば、まったく面倒を見るつもりはない。
経済的な面も含めて。ビタ一文払う気はない。払えても払えなくても。
血族に関しても、関係終了届なんてのがあるとしたら
人知れずそっと提出してしまうかもしれない。
ごめんよ、父。
 
そういえば、私が20代の時に母は父の姓から旧姓に戻った。
父が雲隠れして役所手続きができなかったために
私たち子どもは、父姓のまま新しい学校に転校した。
離婚が成立した時に、子供の名前が変わるのはかわいそうだという判断だったんだろう。
あーばぁちゃんもそのまま元夫姓で過ごした。
 
ある日、突然「旧姓に戻る」と言い出した。
時間が経ってしまっているから、何かと手続きが大変だったらしい。
確か、家裁とかにも赴いていたようだ。
私もその時に、母姓になった。兄は父姓のまま。
 
母と私と兄は3人それぞれの名前で生きている。
血のつながりがある家族だけど。
介護関連の書類に、時々兄の名前を書く機会がある。
誰もいちいちお尋ねにならないけれど
あれ?って顔は残したまま。
 

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夫の墓には入りません (中公文庫)