はじめての就職先
他部門も含めると、
男子大学生が数人アルバイトで働いていた。短期アルバイトも時にいたが、それとは別に、ずっと変わらず、時間のある時は、シフトに入っていた。
彼らは、私からすれば2歳年下。みんな同学年。
下仕事をいつも背負わされる私。
厨房にひとり出入りする機会が多かった。
そこにいた、印象としては無口な男子大学生のひとり。
ある時たまたま二人になったタイミングで、
「今度、遊びにいかない?」
と、声をかけられた。
私「誰と?」
彼「僕と二人で」
びっくりしたものの、了解し、二人で出掛ける時期があった。
職場での、地味な印象と違い、
気遣いがよく、地味な彼らしい男気もある。
ある時、
一緒に電車の座席に座っていたとき、
「泥棒‼その人捕まえて‼」
と、
逃げる男と、追いかける女性。
とっさに、席を立ち、追いかけていった彼。
しばらくして、
息を切らして帰ってきた。
「どうだった?」
「ほかの人が捕まえた。」
まだ学生のアルバイトにも関わらず、
手土産を持たせてくれたり、
プレゼントをくれたり。
地味でいじめられっ子の私なのに、
こんな私と、一緒に過ごそうとしてくれる彼。
その気があるとかないとか、
いまいちピント来ない。
だけど、
そんな彼との時間は、悪くはなかった。
だって、
とにかく、私を女性として立ててくれたから。