仕事力がアップする経済ノート

【転載開始】

■早期・希望退職の募集人員は前年の
 3倍に急増・・・
 人材不足というけれど、余剰人員の
 肩叩きが始まっている
 公開日:2025/05/13

 

希望退職者を募集
(パナソニックHDの楠見雄規社長)
/(C)共同通信社

 人手不足が続くなか、大手企業の人員削減
が待ったなしで広がっている。
2024年度に「早期・希望退職」を募集した
上場企業は51社(前年度47社)、募集人数は
8326人(同6247人)となった(東京商工リサ
ーチ4月24日発表)。
なお24年1~12月では募集企業57社(前年比
39%増)、募集人数は1万9人と前年(3161人)
に比べ3倍に急増している。
同社の情報本部長・友田信男氏が大手企業に
広がる人員削減の特徴をこう指摘する。

 「10年ほど前までは早期希望退職者募集は
業績不振、赤字企業が大半でした。しかし
ここにきて黒字企業が構造改革に向けた新規
事業部門の設立で、間接部門などのリストラ
を一気に加速させている。新規部門で必要と
されない、力のない余剰人材の肩叩きが始ま
っているのです」

 業種別ではルネサスエレクトロニクス、
シャープ、富士通、パナソニックなど
電気機器が18社で前年度(7社)から2.5倍と
最多、非上場の東芝も早期退職に応募した
3000人超えに配置転換を加え3500人を適正
人員としている。
自動車業界ではマツダが500人を募集、
日産は昨年11月に9000人の人員削減を発表
している。

 パナソニックホールディングスの
楠見雄規社長は2月4日の24年度決算発表で、
増収増益の順調な決算ながら、「経営状況は
決して満足のいくものではなく、むしろ強い
危機感を持っている」とし、グループ全体の
構造改革についてこう指摘している。

 「事業会社制に伴い、各事業会社が個別に
間接機能を強化した結果、いまグループ全体
で固定費の増加が利益を圧迫している。最優
先で手を打つべきは、とくにこの間接機能に
おける業務の集中・集約とモダナイゼーショ
ンです」

 そして、「各事業会社や分社の本社・間接
部門コストを大幅に削減することで、グルー
プ全体で本社・間接部門を中心に本当に必要
な仕事を見極め、人員を適正化していく」。

 同社は先週9日、全体のおよそ5%に当たる
1万人規模の人員削減を行う方針を明らかに
した。

 昨年11月に人員削減を発表した日産はその
後動きがない。
25年3月期の赤字は最大7500億円と発表され
たが、9000人削減は2月の800億円の赤字
予想を前提にした数字だ。
過去最大の赤字見通しから、人員削減が
9000人で済むとはとても思えない。

 これまで技術開発に遅れてきた途上国の
スピードは速まっている。
構造改革を進める大手企業の人員削減の広が
りは、日本がこれまで培ってきた製品、技術、
開発力の優位性が失われることへの危機感に
他ならない。

(ジャーナリスト・木野活明)

【転載終了】

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失業率の拡大に繋がる可能性も。

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