週刊誌からみた「ニッポンの後退」
【転載開始】
■警察はやる気があるのか?
今度は川崎でストーカー被害の20歳女性
が殺される
公開日:2025/05/11
桶川ストーカー事件で会見する女子大生の両親
(C)共同通信社
またも警察はストーカー被害の20歳の女性
を“見殺し”にしてしまった。
警視庁のHPには「ストーカー行為の被害に
不安を覚えたら迷わず警察に相談して下さい。
あなたにとって最善の解決方法をみつけます」
と書いてある。
元交際相手の白井秀征容疑者(27)に殺され
た神奈川県川崎市在住の岡崎彩咲陽さん(20)
の父親でなくても、「嘘をつけ!」と怒鳴り
たくなる。
彼女は去年9月に、
白井から「刃物を向けられた」と神奈川県警
に被害届を出していた。
しかし、警察によると、
「事実と異なる説明をした」と届けを取り
下げたという。
担当者は、相手から脅されたのではないかと
いう想像力さえ働かなかったようだ。
彼女の父親は、
「何度も相談したのに対応してくれなかった」
「娘はここ(川崎臨港署)で殺されたのも一緒」
と警察の対応に怒っている。
しかし、神奈川県警は
「相談を受けていた認識はない」と正反対の
主張だ。
彼女は、行方不明になる前日までの12日間で
9回も警察に身の危険を訴えていたのに・・・。
よほどのバカでない限り、彼女の異様を察し、
話を聞いたり安全を確保してあげるのが、
警察のやるべき務めだということは理解でき
たはずだが。
ストーカー規制法(2000年に制定・施行)
は、週刊誌の記者による執念の調査報道から
生まれた。
1999年、埼玉県桶川市で起きた女子大生殺人
事件に疑念を抱いた写真誌「FOCUS」の
清水潔記者が、被害者が交際相手から苛烈な
ストーカー被害を受けていたこと、上尾署が
「民事不介入」を盾に不誠実な対応に終始し、
助けられる命を救わなかったことを、綿密な
取材に基づいて詳細に報じた。
さらに清水は、独自に犯人グループを割り
出し、誌面で名指ししたのである。
この問題は国会でも取り上げられ、
埼玉県警本部長が記者会見を開き、
「殺害は避けられた」と国民に向けて謝罪し
た。
週刊誌の歴史の中で、今も語り継がれる
大スクープであった。
だが、今もなおストーカーによる殺人事件は
後を絶たない。
2013年には東京都三鷹市の女子高生が
元交際相手に殺害され、つい最近も、博多駅前
で女性が元交際相手に刺殺される事件が起きて
いる。
残念ながら、この法律は今や“ザル法”になって
いると思わざるを得ない。
ここで、40年以上前の私の実体験について
書くことをお許しいただきたい。
社の別の部署の女性編集者が、
「妹が以前少し付き合っていた右翼の男に付き
まとわれて困っている」と相談に来た。
自宅にも何度も押し掛けて来て、病身の父親を
脅している。
妹の身が心配だが、神奈川県警は「男女関係に
は立ち入れない」と何の対応もしてくれないと
いうのである。
そうこうしているうちに、父親が男に拉致
されてしまった。
私は、知人の右翼の「大物」に相談し、2人で
父親の救出に向かった。
時効だから記すが、彼は信玄袋の中にチャカ
(拳銃)を入れていて、私に見せ、にやりと
笑った。
男の家を突き止めたが、私の知人の名前を
知ったらしく、逃げ出した後だった。
家に踏み込み、地下室に軟禁されていた父親
を見つけ、帰宅させた。
妹と3人で神奈川県警に被害届を出しに行った。
私は、県警の質問に答える間、彼のチャカが
見つかるのではないかと気が気ではなかった。
誘拐犯は後日、県警に出頭してきたと記憶して
いる。
当時はストーカーなどという言葉はなかった
が、いつの時代でもこの手の男はいる。
ストーカー被害の相談は年間2万件くらいある
というが、万に一人の被害者も出さないために、
警察庁は早急に“お題目”ではない、被害者を
守ることができる「ストーカー法の改正」を
するべきである。 (文中敬称略)
(元木昌彦/「週刊現代」「フライデー」
元編集長)
【転載終了】
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昔から言われていますが、
「警察は人が死なないと動かない」と。
民事不介入は、面倒だから動かない
という役人体質特有の逃げ口上に聞こ
えてしまいますね。