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【転載開始】

■国民民主党「“年収の壁”178万円に引き上げ」
 早くも腰砕け・・・
 識者が説く財源不足の一気解決策
 公開日:2024/11/03

 

足元を見られて当然(C)日刊ゲンダイ

 早くも腰が引けてきた。1日、国民民主党
の榛葉賀津也幹事長が公明党の西田実仁幹事長
と会談。
前日の自民党に続き、案件ごとに政策協議する
方針で一致し、自公国の「部分連合」に向けた
協議の枠組みが固まった。
協議の焦点は、国民民主が強くこだわる
「年収103万円の壁」の解消である。

 給与額面から一定額を差し引く控除額の合計
が、103万円を超えると所得税が課税され、
手取り収入は減ってしまう。
この「壁」を意識してパート従業員らが
労働時間を抑制するため、人手不足に拍車を
かけていると指摘される。

 衆院選公約で国民民主は控除額を増やし、
課税水準を178万円に引き上げると主張。
玉木雄一郎代表は10月31日の会見で
「(自公が)全くやらなければ当然、協力でき
ない。その時は過半数に届いていないわけだか
ら、予算も法律も通らない」と強気だった。

 しかし、威勢がいいのはここまで。
同じ会見で玉木代表は控除の増加幅について
「交渉次第だ」とトーンダウン。
この日は報道陣に
「100%これ(=178万円)をのまないと、
1ミリでも変えたらダメだという気はない」と
修正に含みを持たせた。
すっかり尻すぼみである。

 控除引き上げで恩恵を受けるのはパート
従業員だけではない。
年収300万円で11.3万円、同500万円で
13.2万円、同800万円で22.8万円の減税効果
を生み、幅広い働き手が潤うことになる。
そもそも103万円の控除額は1995年から
30年近く据え置かれたまま。
引き上げ幅の75万円はこの間の最低賃金の
上げ幅(1.73倍)に合わせて算出した額だ。
根拠として全く問題ない。

 それでも政府は
「国と地方で7兆~8兆円程度の減収が見込ま
れ、高所得者ほど恩恵が大きくなる」
(林官房長官)と予防線を張り、メディアも
税収減を問題視。
「低所得者に的を絞るべき」
「95年以来の物価上昇率(10%)に応じて
控除を引き上げれば財政負担は1.1兆円に
とどまる」などと異論続出である。

■「要は取れるところからキッチリ取る」

 この空気を察してか、国民民主内でも
「10万円でも20万円でも壁が引き上げられた
ら十分」と物分かりのいい意見が上がる。
朝日新聞は「8000億円なら税収の上振れで
対応できる」と経済官庁幹部の匿名コメント
を報じていたが、国民民主が腰砕けになれば
なるほど政府の思うツボだ。

 「控除は『生活維持のため最低限の収入を
守る』という趣旨で始まった制度。消費税増
税で国民の生活費にまでドンドン手を突っ込
んでいる以上、75万円程度の引き上げは当た
り前です」と言うのは立正大法制研究所特別
研究員の浦野広明氏(税法)だ。こう続けた。

 「財源不足が問題なら、大企業や富裕層か
ら応分の税収を徴収すればいい。所得・住民
両税の税率を富裕層への累進性が強かった
1976年当時に戻し、法人税も今以上に累進性
を強化すれば、約58兆円の税収を捻出できま
す。要は取れるところからキッチリ取る。ウ
ソだというなら、いつでも根拠をお示ししま
すよ」

 玉木代表も与党との協議に前のめりだから、
足元を見られるのだ。
ナメられたくなければ「ふり」でも野党の姿勢
を続けるべきである。

  ◇  ◇  ◇

 衆院選で躍進した国民民主党。
玉木代表への期待が高まっているが、聞こえが
いいことばかり言う政治家を疑ってかかるべき
だ。

【転載終了】

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 案の定という感じですが、国民民主は、
支持層が無党派層という浮動票である
ことが弱点ですね。

 この浮動票は、若年層という気がして
いるのですが。