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【転載開始】

■携帯契約での「読み取り義務化」は、
 マイナンバーカードの「基本概念」を
 根本的にひっくり返す悪手だ
 2024年07月04日

 

YU_PHOTO/SHUTTERSTOCK

 <政府は当初、マイナンバーは厳格な意味
でのIDではなく取得は任意としていたが、
すでにそうした説明は完全に破綻してしまっ
た>

 携帯電話契約時(対面の場合)の本人確認
に当たって、マイナンバーカードに搭載され
ているICチップの読み取りが必須となる。
携帯電話がなければ社会生活を送るのが極め
て困難という現実を考えた場合、これは政府
による事実上のマイナンバーカード義務化と
いえる。

 マイナンバー制度については、無理にカード
を使わせようとする政府のスタンスや、
セキュリティー面での不備などに対して数多く
の批判が寄せられてきた。

 だが、これまで指摘されてきた事象は、
あくまで個別の問題であると見なすこともでき
たが、今回の措置は、任意取得という基本概念
を根本的にひっくり返すものといえる。
制度の根幹が揺らいでいる以上、解体的な
出直しが必要である。

 マイナンバー制度に対しては、当初からいく
つかの疑問点あるいは問題点が指摘されてきた。

1つ目は、マイナンバーカードは厳格な
ID(身分証明書)なのか、そうでないのか、
はっきりしていないというもの。
2つ目は、物理的なカードの導入に政府が過度
に固執している理由が不明瞭であること。
3つ目は、民間での商業利用が大前提となって
いること、である。

■なぜ政府は「カード」を絶対視しているのか?

 政府は当初、マイナンバーは厳格な意味での
IDではなく、「IDカードとしても利用できる」
との説明にとどめており、そうであればこそ
取得は任意であり、民間企業にも開放するとの
流れだった。

 厳格なIDでなく、より便利になるツールと
いう程度の位置付けであるなら、
セキュリティーも絶対である必要はなく、
民間企業に事業を開放し、ポイントなどを
使って取得を促すことも許容されるだろう。

 だが、紙の健康保険証の廃止に続き、
携帯契約時の読み取り義務化が実施されれば、
マイナンバーカードはユニーク(唯一の)な
身分証明手段とならざるを得ない。
そうなると、これはれっきとしたIDであり、
もしそうであるならば、気軽に持ち歩くよう
なものではないし、民間への自由な開放など
危険極まりない。

 筆者は今でも政府が物理的なカードを
絶対視している理由がよく分からない。
一部の論者はカードや読み取り機を製造する
メーカーの利権が関係していると指摘して
いる。
そうした面があるのは事実かもしれないが、
それだけの理由でカードの導入をここまで
ゴリ押しするというのは、他の政治利権との
比較で考えても不自然である。

■これまでの政府の説明は完全に破綻して
 しまった

 改めて説明するまでもなく、マイナンバー
そのものとマイナンバーカードは不可分では
なく、カードがなくても、制度は問題なく
機能する。
実際、韓国では類似の制度を既に導入して
おり、行政手続きは日本では考えられない
ほど便利になっているが、手続きに際して
カードの提示は必須ではない。

 筆者は、政府内部で制度設計に携わった
担当者や、カード導入を強く主張した関係者
の多くが、カードという物理的なツールが
存在しないと本人確認ができないと、
本気で誤解していたのではないかと疑って
いる。

 いずれにせよ、これまでの政府の説明は
完全に破綻しており、到底、国民の信頼を
得ることはできないばかりか、
大規模な情報漏洩など取り返しのつかない
事故を引き起こすリスクについても考える
必要が出てきた。
マイナンバー制度はゼロベースで見直す
必要があるだろう。

【転載終了】

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 「国策」=「利権」という疑惑がついて
回りますね。
頭の悪い政治家が利権屋に利用されている
構図がぼんやりと・・・