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【転載開始】

■いびつな日本経済・・・
 「円安」に喘ぐ庶民と好決算の大企業 
 主要メーカー109社「増収増益」5割
 公開日:2024/07/02

 

円の価値は6割も割安・・・(C)日刊ゲンダイ

 ウハウハのようだ。庶民は「円安」に喘い
でいるが、主要メーカーは円安の恩恵を享受
していることがわかった。

 東京商工リサーチの調査によると、
上場している主要メーカー109社は、
2024年3月期につづき、2025年3月期の決算
でも「好決算」を見込んでいるという。

 2024年3月期決算では、前期比「増収増益」
が58社(53.2%)と半数以上を占め、
「増収減益」24社、「減収減益」21社、
「減収増益」6社の順だった。

 2025年3月期も、この傾向がつづきそうで、
業績見込みは
「増収増益」52社、
「増収減益」28社、
「減収減益」17社、
「減収増益」12社だった。

 輸出比率の高い大手メーカーにとって、
やはり「円安」は追い風ということだ。
主要109社は、2025年3月期決算の
「想定為替レート」を1ドル=143.5円(平均値)
に設定しているが、為替は1ドル=160円まで
「円安」が進み、2025年3月期も空前の好決算
を記録する可能性が高い。

 庶民と中小企業は円安がもたらす「物価高」
(コスト高)に悲鳴をあげているのに、
輸出大企業だけはボロ儲け──という「ねじれ」
が広がっている。

 経済評論家の斎藤満氏がこう言う。
「急ピッチな円安によって、日本経済は歪みが
大きくなっています。購買力平価では1ドル=
100円程度が適正なのに、1ドル=160円まで
円安が進み、円の価値は6割も割安になってい
る。その分、輸出企業は利益が膨らんでいる
格好です。円安によって輸出大企業が儲かると、
たしかにGDP(国内総生産)は増えますが、
GDI(国内総所得)は減少してしまう。この
乖離が歪みとなっている。日本政府はGDPを
優先しているようにみえます」

 1ドル=160円台の「円安」は、日本株にも
マイナスとなりはじめている。
ドル建てで運用成果をはかる海外投資家に
とって、円安は収益の目減りになるため、
海外勢の買いにブレーキがかかっていると
いう。

 もちろん、輸出大企業が取引先に儲けを分配
すれば、日本経済全体に「円安」の恩恵が行き
渡るのだろうが、実際は輸出大企業が利益を
独り占めしている形だ。
5兆円という空前の利益をあげた
トヨタグループなどは、分配するどころか、
下請け50社に金型を無償で長期保管させていた。
下請け企業の被害総額は数億円に達するという。

 「行き過ぎた円安は、やはり日本経済全体に
はマイナスです。なぜ岸田政権は放置している
のか。財界の意向を最優先しているのでしょう」
(斎藤満氏)

 市場では1ドル=200円の声も上がっている。
庶民と中小企業だけが追い詰められている。

【転載終了】

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 今後、海外大株主が増えていき、ファンド系
株主が経営に退任要求をする事例が増えていく
可能性も。

 直近ではトヨタの海外大株主からの豊田昭雄
会長の退任要求がありましたね。

 過去にはある企業の社長が海外株主から解任
動議が出され、解任されたこともありました。