NEWS WEEK

【転載開始】

■総額100万円ほどの負担増・・・
 国民年金の納付「5年延長」案は、
 なぜ避けて通れない議論なのか?
 2024年05月15日

 


 <国民年金の納付期間を現状の60歳から
65歳までに延長する制度改正案。なぜこの
タイミングで検討されているのか>

 国民年金の納付期間を65歳まで延長する
案が出ている。
多くの国民が勘違いしているのだが、
平均的なサラリーマンにとっては関係の
ない制度改正である。
だが、間接的には全国民共通の課題でもあり、
何を目的にした制度改正なのか理解して
おいたほうがよいだろう。

 日本の公的年金は全国民共通の国民年金と、
サラリーマンだけに適用される厚生年金の
2階建てとなっている。
今回、議論の対象となっているのは国民年金
のほうである。
国民年金は20歳で加入して、40年間保険料
を納める仕組みとなっており、60歳で納付が
終了する。
これを5年延長して65歳までにしようという
のが主な変更点である。

 現在、企業で働くサラリーマンは、本人が
希望すれば65歳まで継続雇用することが
義務付けられている。
老後資金に余裕がある一部の裕福な人を除い
て、多くのサラリーマンが65歳まで働く
可能性が高いので、厚生年金を通じて自動的
に国民年金の保険料を納めることになる。

 従って国民年金の納付が65歳まで延長に
なったとしても、もともと65歳まで働いて
保険料を納める予定だった人にとって負担増
にはならない。

■5年間の納付延長で100万円ほどの負担増

 純粋な意味で負担増となるのは60歳で
国民年金の納付が終了する自営業者と、
60歳で引退し、その後は働く予定のない
サラリーマンである。
この人たちは、60歳以降は保険料を納めない
はずだったので、延長になった分だけ納付額
が増える。

 現在、国民年金の1カ月当たりの保険料は
1万6980円であり、5年間納付が延長される
と総額100万円ほどの負担増だ。

 では、なぜこのタイミングで国民年金の
納付期間延長が検討されているのだろうか。
その理由は、多くの国民にとって聞きたく
ないことかもしれないが、ストレートに言う
と、今後、深刻化する「老後の貧困問題」
に対処するためである。

 国民年金だけに加入する被保険者というの
は、もともとは自営業者が想定されていた。
自営業者は規模が小さいとはいえ実業家で
あり、基本的に自身の生計は自身で立てる
能力があると見なされている。

 だが近年は、純粋な意味での自営業者では
なく、アルバイトを主な収入源にしていたり、
厚生年金に加入していない事業所で働く
非正規社員など、限りなくサラリーマンに
近い国民年金加入者が増えている。

■生活できない高齢者が続出するのはほぼ
 確実

 現時点において国民年金の給付額は月当た
り約6万6000円だが、この金額は仕事を続け
て収入を得ることを前提にしている。
だが非正規社員に近い自営業者の場合、高齢
になってから継続雇用される保証はなく、
しかも経済的事情から保険料を満額納める
ことができない人もおり、こうした人が受け
取る年金額はさらに低くなる。

 今後はインフレが加速する可能性が高まって
おり、このままでは生活が成り立たなくなる
高齢者が続出するのはほぼ確実である。
年金の底上げを実施しなければ、結果的に
生活保護の支出が増えるので、政府にとって
は年金を増額するほうが望ましい。

 納付期間を延長すれば、その分だけもらえる
額も増え、現時点では年間10万円ほど受給額が
従来より増えると予想されている。
年間10万円と聞くと小さな額に感じる人もいる
かもしれないが、わずかな年金しか受給できな
い高齢者にとって年間10万円は大きな違いだ。

【転載終了】

***********************

 かなり前から″老後難民″が問題になって
いたと記憶しています。
出発点は″派遣法改定″からですかね。