MONEY VOICE

【転載開始】

■1ドル155円台突入でバレた日銀の嘘・・・
 「円安は全体としてプラス」の誤認識で
 国民疲弊、日本経済は衰弱へ
 2024年4月25日

 ついに1ドル155円台へ突入し、約34年ぶり
の大幅な円安となっています。
外国人旅行者が喜ぶ一方で、日本人が苦しい
生活を余儀なくされる現実を突きつけられる
結果に。
そもそも自国通貨の下落で栄えた国はありま
せん。
「円安は全体としてみれば日本経済にプラス」
と言って国民を騙してきた政府・日銀の責任
が問われます。

■「円安はプラス」という誤った認識

 34年ぶりという1ドル155円台の大幅な円安
がはびこり、外国人旅行者が喜ぶ一方で、
日本人が苦しい生活を余儀なくされる現実を
突きつけられています。

 この状況を目の当たりにして産業界からも
円安は困る、との声が上がるようになり、
ワシントンでの日米韓財務相会合で、
急激な円安、ウォン安が問題だとの認識を
共有しました。

 日本の自国通貨安をプラスとしてきた為替
に対する誤った認識がようやく修正されよう
としています。
 


 バブル崩壊後の日本経済の停滞を円高のせい
にして、アベノミクスは大規模緩和による
自国通貨の下落、つまり円安を利用して
日本経済(企業)を活気づけようとしました。

 ところが、企業は円安で容易に利益を上げら
れた一方で、多くの国民が長い間価値の低下し
た円通貨のもと、生活水準を大きく低下させる
という負担を強いられることになりました。

■円高デフレのウソから始まった

 ニクソンショック以降、日本経済は約20年の
間、円高傾向の中で繁栄してきました。

 80年代後半には強い円が米国の象徴的なビル
買収を可能にし、ハワイも買えると豪語する
向きもありました。
ここまでは円高で日本は強さを世界にアピール
しました。

 ところが、90年にバブルがはじけてその後
資産デフレ、バランスシート不況に陥ると、
日本は「失われた10年、20年」を余儀なく
され、長期停滞局面に入りました。銀行の
不良債権処理の遅れ、対応の間違いを棚に上げ、
時の政府は経済停滞の責任を円高、並びにこれ
を放置した日銀に押し付けました。

 ここに「円高デフレ」という言葉が不用意に
使われ、メディアもこれを無批判に使いました。

 経済停滞の原因はパブルの崩壊と資産デフレ、
バランスシート不況にあり、それを生んだ
80年代のバブル政策だったのですが、病根には
メスが入らず、「円高デフレ」が敵視され、
安倍政権は日銀に異次元緩和を求め、ひたすら
円安誘導を進めました。

 実際には円高で日本がデフレに陥ったことは
ないのですが。
それでも大規模緩和で円安株高が実現したため
に、「アベノミクスの成果」と喧伝されました。

■円安は全体としてプラスとした日銀の大罪

 異次元の金融緩和で円安が進み、株価も上昇
したのですが、その一方で国民は高い輸入品を
買わされることになり、日本経済の採算が悪化、
国内所得はかえってマイナスになりました。

 しかも金利は長短ともになくなり、預金者は
金利収入を奪われたばかりか、利ザヤを得られ
なくなった銀行の収益悪化が、預金者にしわ
寄せされました。

 コスト削減と言って銀行は店舗やATMを減ら
し、銀行サービスが劣化しただけでなく、
振込手数料が引き上げられ、新規の通帳発行も
有料になりました。

 YCCによる大規模緩和が結局預金者に付け
回しされる羽目となりました。
日銀が国債やETFを買い占めたために、市場の
流動性が減り、市場機能が低下しました。

 こうした副作用満載の異次元緩和、円安誘導
に対しても、黒田日銀総裁(当時)は
「円安は全体としてみれば日本経済にプラス」
と言って放置しました。

 この10年の積み重ねが、日米で5%以上開い
た政策金利差、150円越えの円安をもたらしま
した。
アベノミクスによる円安誘導の大罪が問われて
います。

■甘いハンデで鍛錬をさぼった日本企業

 円安で企業は容易に利益を上げられるように
なったのですが、かつてシングルハンデの実力
を持った日本企業も36の甘いハンデをもらって
楽勝となったため、練習をさぼっているうちに
力も落ちてしまい、アジアの新興国に追い上げ
られました。

■円安でかえって、日本の競争力は低下しま
 した。

 80年代末に世界の株式時価総額トップ10は
日本企業(特に銀行)がほぼ独占していました
が、いまやトップ10に入る日本企業は消えまし
た。

■気が付けば中進国

 80年代に「ジャパン・アズ・ナンバーワン」
と称えられた日本も、昨年のGDP(国内総生産)
はドイツにも抜かれて4位に後退、近いうちに
インドにも抜かれそうです。

 1人当たりGDPではさらに悲惨で、IMFによる
予測では23年の1人当たりGDPはトップの
ルクセンブルクが13万5,000ドル余りに対して、
日本はその4分の1の3万4,000ドル弱で
世界第34位に落ちました。
キプロスやバハマにも抜かれました。

 80年代には世界経済のリーダー国の1つと見ら
れましたが、今日ではOECD38か国の中でも
21位と下位に甘んじるようになり、
世界の中進国になり下がりました。
円安で日本経済の大安売りをした結果です。

 この円安が続くと、1人当たりGDPは間もなく
韓国、台湾にも抜かれます。

■膨らんだ日銀資産のツケ

 植田日銀総裁は3月19日、異次元緩和はすで
に役割を終え、今後は短期政策金利による
金融調節に戻ると述べました。
しかし、異次元緩和を10年も続けた結果、
日銀が保有する国債の残高は590兆円にのぼり、
国債発行総額の半分以上を保有する事態となり
ました。
日銀の総資産は3月末で756兆円に上ります。

 これは昨年の日本のGDP590兆円の128%に
のぼります。
FRBが膨らんだ資産の圧縮を迫られていますが
7兆ドルのFRB資産は28兆ドルの米国GDPの
25%になります。
日銀資産がいかに膨大になったかがわかります。

 この資産に見合った流動性が市場に供給され
ているわけで、これを吸収する過程では新たな
副作用、軋轢が生じます。

 ワシントンG20後の会見で、植田日銀総裁は、
円安が物価に大きな影響を与えるなら政策の
調整(追加利上げ)を検討するといい、
財務省の鈴木大臣は、(円安は困るが)円安は
金利差だけで決まるわけではないと述べていま
す。

 金利上昇による膨大な国債の金利負担の高ま
りを警戒しています。
金融政策の正常化には程遠い状況にあります。

■自国通貨の下落で栄えた国はない

 日銀による円安誘導のための大規模緩和を
「国是」とするアベノミクスを10年も続けた
結果、日本経済の衰弱が明らかになりました。
“円安は全体としてプラス”と国民をだました
結果です。

 そもそも、自国通貨が下落して栄えた国は
ありません。
むしろアルゼンチン、トルコなどは通貨下落
で経済危機に陥り、90年代後半にはアジア
通貨危機、ロシアのルーブル危機を目の当た
りにしています。

 通貨安誘導が経済によいなら、
今頃アルゼンチンもトルコも世界の先進国に
なっていてよいはずです。
タイやインドネシア、ロシアも通貨下落に
苦しまずに栄えても良さそうですが、現実は
通貨安が経済の大きな負担になりました。

 「嘘も方便」といいますが、日本だけが
円安で栄えるというのは、あまりに稚拙な
嘘で、そのウソに気づくまでに日本は高い
授業料を払う結果となりました。

【転載終了】

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 有事のドルと言われていますが、
ウクライナ支援額が膨大であり、
アメリカ経済は決して良好な状態では
ない様に思うのですが?
年内決着しないと、アメリカ経済も
かなり厳しいものになるのでは・・・

 代わりに、同盟国の日本に負うところ
が強まりそうですよね。
岸田首相の「国賓待遇」がどのような
約束をさせられてきたのか。

 又、安倍派が強硬に「アベノミクス」
転換に反対してきた事も要因ですね。
安倍派解体は、日本にとってはいいこと
だと思いますが。