日刊ゲンダイDIGITAL


【転載開始】


■「2024年問題」で実質賃金プラス転換は

 絶望的・・・

 連続マイナス過去最長23カ月、家計の犠牲

 はまだ続く

 公開日:2024/04/09

たちはだかる「2024年問題」、人手不足倒産

すらも危惧される

(C)山陽新聞/共同通信イメージズ


 家計の苦しみは、いつまで続くのか。

厚労省が8日発表した2月の毎月勤労統計調査

でも実質賃金はマイナス。

実に23カ月連続で、リーマン・ショックを

背景に最も長く減少した2007年9月~09年7月

に並び、過去最長を記録した。

ただ、リーマン危機の頃の実質賃金マイナスは

典型的な不景気型だった。


  ◇  ◇  ◇


 当時は世界同時不況に日本も巻き込まれ、

製造業を中心に大幅に人員を削減。

09年7月に完全失業率は5.5%に跳ね上がり、

翌8月に有効求人倍率が0.42倍と過去最低に

沈んだ。

09年春闘の賃上げ率は1.83%。円高も急激に

進み、08年12月には一気に87円台まで上昇

した。

日経平均がバブル後最安値7054円98銭を付け

たのは、09年3月10日のことだ。


 あれから15年。

今や日経平均は34年ぶりにバブル期最高値を

更新し、史上初の4万円台を突破。

24年春闘の賃上げ率は33年ぶり5%超の

高水準だ。

直近2月の完全失業率は2.6%、有効求人倍率

1.26倍と、見違えるほど改善している。


 2月の名目賃金に当たる現金給与総額は

前年同月比1.8%増で、26カ月連続のプラス

だ。

それでも物価上昇に追いつかず、2年近くも

家計悪化が続く深刻な事態に陥っているので

ある。


 「リーマン危機の大不況から脱するため、

政府・日銀がとった施策はあくまで大企業

中心。その象徴がアベノミクスの異次元緩和

です。円安誘導で輸出企業の業績が回復した

半面、輸入コストは上昇し、物価は高騰。

大企業の空前の利益は家計の犠牲の上に成り

立っています。植田日銀の緩和継続で、1ド

ル=152円目前と34年ぶりの円安水準が続き、

この先は賃上げ分の価格転嫁も進む。いずれ

も値上げ圧力となり、実質賃金のマイナスは

当面、続きそうです」

(経済評論家・斎藤満氏)


■全就業者の12%に影響

「残業代ありき」で生計をたててきたドライ

バーや建設作業員の人たちには「死活問題」

/(C)共同通信社


 6月には1人4万円の定額減税が実施される。

財界は「6月ごろには実質賃金が(物価を)

上回る」(経済同友会・新浪剛史代表幹事)

とプラス転換に期待するが、立ちはだかるの

は「2024年問題」だ。


 4月から建設業や物流業は時間外労働の

上限規制が強化され、大幅に残業時間を削ら

ざるを得ない。

「残業代ありき」で生計を立ててきたドライ

バーや建設作業員には死活問題だが、

毎月勤労統計からは先取りの動きがうかがえ

る。

2月の残業代などの所定外給与は前年同月比

1%減で、昨年12月から3カ月連続のマイナ

スなのである。


 建設業の従事者は全国で480万人、物流業

は348万人(総務省・労働力調査=2月)。

合わせて全就業者の約12%を占める。

これだけ多くの人々の手取り収入が減れば、

実質賃金に悪影響を及ぼすのは確実だ。


 「企業側も残業を減らす分の労働力を新た

な人材で補うしかない。人件費の総額は増え

るのに、一人一人の手取りが減ってしまう

悪循環です。深刻な人手不足の中、人材確保

も容易ではなく、好条件を出せない企業は

淘汰されるのみ。増え続ける『人手不足倒産』

に拍車がかかりそうです」(斎藤満氏)


 このままでは、実質賃金がプラスに転じる

のは絶望的だ。

家計の苦しみだけが、リーマン危機の頃から

変わっていない。


【転載終了】

***********************


 「企業栄えて、民滅ぶ」。


 中国のバブル崩壊は世界経済にどれほどの

影響を及ぼすのか?

不動産から金融に影響が出始めてきそうです

から、心配ですね。