週刊誌からみた「ニッポンの後退」

【転載開始】

■五輪汚職の高橋治之の「告白」を新聞・
 テレビが報じないワケ・・・
 誰を怖がっているのか?
 公開日:2024/02/18

 

高橋治之元電通専務(右手前)と
森元首相(C)日刊ゲンダイ

 東京五輪の受託収賄事件で1億9800万円の
ワイロを受け取ったとして起訴された
高橋治之元電通専務が週刊文春(2月15日号)
で、“安倍晋三に裏切られ、森喜朗に嵌められ
て・・・”と「初告白」している。

 「森さん(喜朗元組織委員会会長=筆者注)
から『あなたはマーケティング担当理事です』
なんて言われたことは一度もありません。森
さんが勝手なことを言っているだけ」

 招致委員会から高橋の会社に多額のコンサル
料が振り込まれていたことについては、

 「招致活動をする時には、当然、渡航費など
の経費がかかる。招致委員会にそうした予算は
いくらあるのか聞いたら、『ゼロ』というんで
す。『お金を集めてください』って。それで、
一社二億一千万円の協賛金を集めるパッケージ
を作って、色んな企業に声をかけた。僕だけで
約二十五億円集めました。そのうちの三十%は
僕の招致活動費に使うという契約を交わしてい
たので、七、八億円くらいが僕の会社『コモン
ズ』に振り込まれました」

 自身が「見なし公務員」で、スポンサー企業
からカネを受け取ることで刑法上の罪に問われ
る恐れがあるという認識はあったのか問われる
と、
「僕が理事になった十四年時点では組織委は一
般財団法人でしたが、翌十五年に『オリ・パラ
特措法』ができて、組織の理事は公務員とみな
す、いわゆる『みなし公務員』となることが
決定したといいます。でも、この変更について
組織委からの説明は何もなく、紙っぺらが送ら
れてきただけ。それも色んな書類に紛れて全く
記憶に残っていませんでした」

 要は、高橋は民間のコンサルタントとして
金集めに協力したので何らやましいところはな
い、森は法廷に出て本当のことを言ってくれと
懇願しているのである。

 文春のスクープにケチをつけるわけではない
が、高橋側の言い分をそのまま載せるという
条件で折り合ったのであろうか、いつもの文春
の突っ込みがやや弱いと感じた。

 しかし、文春記者とは別に、大手メディアの
多くの記者が高橋に接触していたはずなのに、
なぜTBS以外のテレビや新聞は報じようとしな
いのか? それは、彼らが警察や検察に怯えて
いるからである。

 私は週刊現代(1996年新年合併号)で、当時、
地下鉄サリン事件などの主犯として逮捕・起訴
された麻原彰晃の「供述調書」を独占掲載した
ことがあった。
当時、警察も検察も「麻原の調書はない」と
言い続けていたが、同じものをいくつかの新聞社
が入手していたことは間違いない。
だが、彼らは警察、検察の記者クラブから出入り
禁止になることを恐れ、出せるはずはなかった。

 これを出せば検察は激怒し、私を逮捕するかも
しれなかった。
なぜなら、調書で麻原は延々と自己弁護し、
犯行は自分の知らないところで部下たちがやった
という内容だったからだ。
当局の面目は丸潰れになり、醜態をさらすことに
なる。

 案の定、掲載誌が出た後の検察の“報復”は厳し
いものだったが、ここでは省く。

 今回も新聞・テレビが無言なのは、無罪を主張
する高橋の言い分をそのまま載せて、検察から
睨まれたくなかったからではなかったか。
権力を監視するという役割など、とっくに放棄
しているのだから当然だろうが。

 「事実に反した森さんの供述で、僕は逮捕され
てしまった」という高橋の告白から、私が読み
取るのは、当局は五輪汚職を事件化するために、
森喜朗と「司法取引」したのではないかという
“疑念”である。
「森さん、あんたを見逃す代わりに高橋を差し出
せ」──。ここはぜひ森の弁明が聞きたい。 
(文中敬称略)

(「週刊現代」「フライデー」元編集長・元木昌彦)

【転載終了】

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 根っこを引っこ抜かないと、この国
の汚職構造はなくならないですね。

 この根っこは、政治の金の分配役の
ようですから。