MONEY VOICE


【転載開始】

■この値上げラッシュでも「まだデフレ」と

 言う政府・・・

 なぜ私たちの認識と大きくズレるのか?

 2024年1月11日


 2024年に入ってからも物価上昇が私たちの

生活に重くのしかかっています。

それでも政府は、物価高対策を政策の柱と

しながら、基本的にはまだ「デフレ脱却への

正念場」と言っています。

まだデフレが終わっていないとの認識です。

この認識の違いと、税金・社会保険料負担増

が国民をさらに苦しめます。


■インフレ対応に戸惑う日本経済


 日本経済は2回の石油ショックと

バブル絶頂期以来のインフレを経験していま

す。

長年インフレのなかった時期が続いたことも

あって、インフレ対応に戸惑いが見えます。

しかもこの間コロナ禍、その後の急回復も

あって経済の基調もわかりにくくなっていま

す。


 そんな中、政府日銀は物価高が続く中でも

日本経済は個人消費が賃上げの実現で緩やか

な拡大を続け、経済をけん引するとみていま

す。


 しかし、IMF(国際通貨基金)の予想では

日本は23年の2.0%成長のあと、

24年は1.0%成長に減速を予想しています。

実際には両年ともにこの予想を下回り、

24年前半はゼロないしマイナス成長に陥る

リスクさえあります。

物価高の裏で個人消費が政府日銀の認識とは

異なって落ち込んできているためです。


■政府日銀の認識と異なる消費の実態


 まず政府日銀が賃金上昇の中で堅調と評価

している個人消費の実態が異なります。


 昨年7-9月期のGDPは実質で前年比1.5%

成長となっていますが、その中でGDPベース

の個人消費はマイナスゼロにとどまっていま

す。

しかも、消費はこの1年では昨年1-3月期以外

すべて前期比マイナスとなっています。


 確かに、コロナ規制が解除され、

昨年5月にはコロナが5類に分類されるように

なってから人の流れが高まったのは事実です。

観光・旅行の需要が高まり、交通・宿泊費の

増加が目立ちます。

そして昨年7月には株価がバブル崩壊後の

最高値を付けたこともあって富裕層の消費は

好調です。

高級外車や百貨店の宝飾品の売り上げが増え

ています。


 またインバウンド消費の増加も情報を

かく乱しました。

観光地を中心に外国人による消費・宿泊が

増え、観光地では対応できる人手が足り

なくなり、さらにオーバー・ツーリズムも

問題になるほどです。

観光業・小売り関連の活況が消費好調と

思わせています。


 しかし30年ぶりの大幅賃上げと言いなが

ら、勤労者の実質賃金は19か月連続の減少

となっています。

賃金上昇率が物価上昇に追い付いていませ

ん。


 さらに足元で2,100兆円を超えた家計の

金融資産は物価高ですでに100兆円以上

目減りし、株の資産効果を打ち消していま

す。

米国では不動産も併せてコロナ後に

50兆ドルも家計資産が増え、消費に大きな

資産効果をもたらしているのとは状況が異

なります。


<中略>


■庶民の手に届かなくなった自動車、

 ホテル代


 物価の中でも国民が毎日のように目に

する食料品価格が7~8%上昇していますが、

価格がそのままでも容器が1リットルから

900ccに減ったり、1袋の内容量が減って、

ステルス値上げしているものも含めれば

10%以上は上がっています。

それでも食べないわけにはいかず、食料品

の価格高騰が家計を圧迫しています。


 例えば直近11月の「家計調査」では

消費全体に占める食料費の割合を示す

「エンゲル係数」が28.4%と、

前年の26.8%から上昇し、それ以外の消費

に回る余力が低下しています。


 その中で家計の購買力に比べて大きく

値上がりしていて、庶民の手に届かなく

なる可能性がある2つが気になります。


 1つは自動車価格の上昇です。

物価統計上は上がっていないのですが、

現実の価格はこの四半世紀でみても最近で

みても大きく上昇しています。

四半世紀前にはトヨタのカムリや

ホンダアコードが1台200万円前後で、

サラリーマンの平均年収の半分以下で買え

ました。

しかし、今では「軽」で200万くらいする

ようになり、年収は増えていないので、

かつてのカムリ、アコードが今の軽に

なっています。

その軽も非正規雇用の年収を超えています。

昨年からは半導体不足の影響で一段高と

なりました。

人口減とこの価格高とから、国内での

自動車需要は富裕層に限定され、縮小し

そうです。


■増税不安と可処分所得の制約


 この物価高に加えて、家計には税負担や

社会保険料負担の重しが強まります。


 すでに昨年半ばから国民健康保険料が

上がっていますが、名目所得の増加に伴って

税率や社会保険負担率区分が自動的に

上がってしまい、「インフレ増税」になる人

が増えます。

物価高で消費税額も増えています。


 そして今後は少子化対策でばらまく資金を

手当てせざるを得ず、これを高齢者の医療費

負担増や増税で賄う案が出ています。

また防衛費増税は自民党のキックバック疑惑

の中で今年は見送られそうですが、

いずれその付けが国民に回ってきます。

選挙目当てでばらまく金も、誰かが負担しな

ければなりません。


 24年はこれまでの物価高で疲弊した購買力

に税・社会保険料負担の増加が追い打ちを

かけます。


 株の資産効果で潤う資産家をしり目に、

多くの国民は実質購買力の低下で財布のひも

を締めなければならなくなります。

個人消費の減退は企業の設備投資意欲を冷や

すことにもなり、内需の低迷が懸念されます。


 被災者救済が最優先ですが、物価高で痛み

を感じる国民にも目を向けた対策が必要で、

これを怠れば岸田政権の基盤をますます

弱体化します。


【転載終了】

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 現在の状況を造ったのは安倍政権ですね。

故安倍晋三氏は「アベノミクス」の失敗を

認識していたようですが、その時点で政策

転換をして入れば、現在のような状況は少

なくとも緩和されていたでしょう。


 経済政策に、ご自身の名を冠するものは

愚者であるという忠告を聞くべきでしたね。