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【転載開始】


■日本外しを始めた北朝鮮──

  日朝首脳会談模索は最悪のタイミング


 中露が唱えてきた「双暫停」対話路線に

基本的に沿い、米韓との首脳会談を控える

北朝鮮は、専ら日本を敵視し日本批判を

激化させている。

このタイミングで日本が日朝首脳会談を

模索するのは最悪のタイミングだ。


■北朝鮮の激しい日本批判


 3月16日、17日と、関西大学の李英和

(リ・ヨンファ)教授から北朝鮮の内部情勢に

関する知らせがあった。

北朝鮮の労働新聞が連日のように日本批判

記事を書いているとのこと。

それも写真付きの慰安婦問題に関する署名

記事で、タイトルは「日帝野獣たちの特大型

反人倫的罪悪を満天下に告発する」という

激しいものだ。


 もともと2月27日に韓国は「三一節(3月1日、

独立運動記念日)」99周年行事を行うに当たり、

慰安婦の証拠映像を公開していた。

ソウル市とソウル大学人権センターが開いた

日韓中の共催による「日本軍慰安婦国際

カンファレンス」でのことだ。

それは1944年9月15日に中国雲南省騰沖で

米中連合軍・米164通信隊撮影中隊が撮影

したものだと、中国では盛んに報道されて

いたので、このこと自体は把握していた。

中央テレビ局CCTVでも、18秒間ほどの動画が

くり返し報道された。


 しかしハングルが読めない筆者にとって、

李英和教授からの現地のナマの情報提供は

非常にありがたい。


■今さらの対話路線――日本にとって最悪のシナリオ


 中露が早くから「双暫停(北朝鮮とアメリカは

双方とも暫時軍事行動を停止して、対話の

テーブルに着け)」という基本戦略で動いて

きたことは、これまで幾度となく述べてきた。

経済的に北朝鮮の首根っこを押さえている

中国に対して、北朝鮮は唯一の軍事同盟国と

しても、一定程度、中国の意向に沿わなければ

不利になる。

そこで従うのは従ったが、しかし「すべてお前の

言う通りにはしない」という意味で金正恩委員長

は「半島問題は朝鮮民族によって解決する」と、

中国に一矢を報い、対話路線への主導権を

握った。


 これまで日本はひたすら「圧力を最大限強化

する」という方針を強く打ち出してきたというのに、

北朝鮮が韓国との対話のみならず、アメリカとの

対話を実現しようとし、トランプ大統領が金正恩

との対話に積極的な姿勢を見せた途端、

日本もまた突然「北朝鮮との対話を模索する」と

いうのは、最悪のシナリオだ。


 日本はよもやトランプがここに来て突然、

米朝会談に前のめりになるとは思ってもみな

かったのだろう。


 それは1971年7月のキッシンジャー元国務長官

による忍者外交と72年2月のニクソン訪中に慌てた

日本政府の動きを想起させる。


 当時のニクソン政権は、ベトナム戦争の泥沼化

と米ソ対立が激化する中、二期目の大統領選挙

に勝つために、「中国」というカードを使った。

電撃的な米中国交正常化への道を切り開いた

として、キッシンジャーはノーベル平和賞を授与

されている。


 拙著『習近平vs.トランプ 世界を制するのは誰か』

の第1章に書いたように、外交経験のないトランプは

キッシンジャーのアドバイスを受け、キッシンジャー

から多大な影響を受けていたようだ。


 だからこれもまた何度も書いてきたように、

トランプは「何なら金正恩とハンバーガーでも食べ

ながらお喋りをしてもいい」と言ってきたわけだ。

トランプには政権発足前からすでに

「何なら金正恩と会っても構わない」という考え方が

あったことになる。

それもキッシンジャー同様の「ノーベル平和賞」が

頭をかすめていたことだろう。


 トランプが実は、このような思考の素地を持って

いたことを、安倍政権はもっと早くから気づいて

いるべきだったのではないだろうか。


 昨年7月31日付のコラム「北朝鮮電撃訪問以外

にない――北の脅威から人類を守るために」に

書いたが、安倍政権は、その時は聞く耳を持たな

かったようだ。

日本が先んじていれば、北東アジア情勢はかなり

違っており、日本に圧倒的に有利に働いていた

はずだ。

しかし安倍政権には残念ながら、それが読めな

かったようだ。

読めていたとしても選択はしなかった。


■北朝鮮は日本に巨額の戦後賠償を求める計算


 中露は最初から対話路線しかなく、そこに韓国が

対話路線を呼び掛けたので、金正恩が呼応し、

結果、トランプも大統領中間選挙を見据えて急遽、

対話に舵を切った。


 何を言わなくても明らかなように、「対話路線」から

取り残されたのは日本だけである。


 昨年10月10日付のコラム<対北朝鮮「圧力一辺倒」

は日本だけ?>で、あの当時のムードでは罵倒され

るのを覚悟の上で、警告を出し続けた。


 金正恩は、国際情勢と各国の指導者の心理を

(案外)キッチリと計算し、ここに来て激しい日本

批判戦略に出始めている。

 少なからぬ日本のメディアが3月18日、北朝鮮の

朝鮮中央通信が17日に日本政府を非難し、

「『日米韓の連携』とか『緊密な協力』とか騒いで

きたが、返ってきたのは『日本の疎外』という深刻

な懸念だけだ」と伝えたと報道した。

圧力を強調する日本に対し、「平壌行きのチケット

を永遠に買えなくなるかもしれない」、

「手遅れになる前に、大勢に従うべき」と牽制した

とのこと。


 そのような状況下で日本が今さら日朝首脳会談

を模索するようなことをすれば、必ず北朝鮮に

足元を見られ、首脳会談が実現した暁には、

巨額の戦後賠償を日本に要求してくることは目に

見えている。


 北朝鮮が慰安婦問題の動画や写真を多用して

日本批判を始めたのが、何よりの証拠だ。

そして慰安婦カードは中国にとって、北が使おうと

南が使おうと、いずれにしても都合のいいカードで、

南北朝鮮は慰安婦カードを使うことによって中国を

喜ばせているのである。


 なお、「アメリカの制裁が効いたので、北朝鮮が

話し合いに応じるようになった」と言ったのは

文在寅大統領である。

北朝鮮を平昌冬季五輪に招聘したいという意思

表明をした時にトランプが理解を示してくれるよう、

トランプへのおべっかとして、保身のために発した

言葉だ。

しかしそのおべっかを大変気に入ったトランプは

その後、盛んに「圧力が効いたから北朝鮮が折れ

てきた」と言うことによって面子を保つことができる

ようになり、一気に融和モードへと舵を切るように

なったのである。

心の底には、そのチャンスを待っていたという心理

要素があったにちがいない。


 いずれにせよ、ことここに至って、ようやく「対話」

を言い始め、ましてや韓国政府を使って日本に

日朝首脳会談の意思があることを伝えるなどは、

最悪のシナリオをさらに悪化させるようなものだ。


 習近平政権側は少なくとも、自ら進んで中朝首脳

会談を開催して下さいなどとは言っていない。

黙って時期を待っている。

北朝鮮が唯一の軍事同盟国であり、北朝鮮の主たる

原油を握っている隣接国、中国に配慮せずに動くこと

はあり得ないのを知っているからだ。

現にこのたび習近平が国家主席に再任されたこと

に対して金正恩は祝電を送っている。

その文面は、「習近平新時代」の思惑のキーポイント

をしっかりつかんでいることを窺わせる。

中国を「1000年の宿敵」と非難しながら、結局、社会

主義体制は水面下で結ばれている。

元社会主義国家の巨頭であったロシアもまた然り。


 日本はもっと毅然とした独自の外交戦略を持つ

ことを心掛けないと、中国だけでなく、

北朝鮮にまで舐められてしまう。

それは日本に必ず大きな不利益をもたらす。

注意を喚起したい。

[執筆者]遠藤 誉

1941年中国生まれ。中国革命戦を経験し1953年に

日本帰国。東京福祉大学国際交流センター長、

筑波大学名誉教授、理学博士。中国社会科学院

社会科学研究所客員研究員・教授などを歴任。


【転載終了】

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 結局、安倍政権には、経済、外交の有能な

ブレーンがいないことが安倍政権の弱点だった

ということでしょうか?


 その辺に気を配らなければならない

官房長官の無能さや経産省中心の側近の

失敗?


 お友達内閣の弊害が最大の悪いタイミングで

出てしまいましたね。


 国内のメディア対策に官房機密費を使い、

本来使うべき海外情報取得に使わないから

重要な情報も取れないのでしょうかね?


 安倍内閣は、トランプが政治のド素人だと

いうことを失念していたのと、北朝鮮が瀬戸際

外交に長けていることを考えなかったことですね。


 日本は完全にピエロです。


 やはり、これだけ失政があると、内閣総辞職は

急いだほうがいいでしょう。