想定内っていうこと!(朝日新聞社)



東京電力は、福島第一原発に、設計の想定を超える津波が来る確率を
「50年以内に約10%」と予測し、2006年に国際会議で発表していた。
東電は「試算の段階なので、対策にどうつなげるかは今後の課題だった」と説明している。

 東電原子力・立地本部の安全担当らの研究チームは福島原発を襲う津波の高さを
「確率論的リスク評価」という方法で調べ、
06年7月、米国であった原子力工学の国際会議で報告した。



 その報告書は「津波の影響を評価する時に、
『想定外』の現象を予想することは重要である」と書き始められている。
 報告書によると、東電は慶長三陸津波(1611年)や延宝房総津波(1677年)などの
過去の大津波を調査。予想される最大の地震をマグニチュード8.5と見積もり、
地震断層の位置や傾き、原発からの距離などを変えて計1075通りを計算。

津波の高さがどうなるか調べた。
 東電によると、福島第一原発は5.4~5.7メートルの津波を想定している。

だが報告書によると、今後50年以内にこの想定を超える確率が約10%あり、
10メートルを超える確率も約1%弱あった。

 報告書は「想定を超える可能性が依然としてある」と指摘。
「津波について知識が限られていることや、
地震のような自然現象にはばらつきがある」ことを理由にあげている。

 確率で原発の危険度を評価する方法は、
地震の揺れが原因になるものは実用化されているが、
津波についてはまだ基準が決まっていない。

一方で、東電は、地震の規模を最大でも東日本大震災の約5分の1として予測しており、
「10%」でも過小評価だった可能性がある。

 報告書について東電は「津波の評価法を検討するための試算段階のもの。
まだ広く認められた方法ではないので、公表は考えていない」と説明する。

 また、設計の想定を最大5.7メートルと決めた根拠について、
東電は「社内で経緯などを整理しているところ」として明らかにしていない。
(木村俊介)