「名僧とは何か」

永遠なる救いを求めて

歴史を動かした名僧

 

『天海』

百八歳で天寿を全うする

天海は寛永十三年四月、日光東照宮大造営完成の神忌勅祭の行事が終わると病に臥すようになった。しかし、強健な天海はまもなく恢󠄀復し、六月には東叡山の本坊に帰ることができたが病状が悪化し、十月二日、ついに百八歳で遷化した。

 

天海は稀にみる長生であった。遺言には九月二十八日、つまり入滅の四日前、日頃から考えていた五つの願いを伝えている。第一は、東照大権現の威霊を増益して、永く天下を泰平ならしめたい。第二は台門の法流を興して根本大師の大志を遂げさせたい。第三は遺弟の親王をして一品となし、高く諸宗の上に冠たらしめたい。第四、毘沙門堂の門室を再興して、先帝の遺招を奉じたい。第五は、教命に背く諸浪人、流人を恩赦してひとしく升代の沢に浴させたい、ということであった。

 

◎役目を果たして霊界に帰ることを目的として日々努力、精進させて頂きます。