『今を生きる』

喜びは苦難のはて

 

「ほとける人間」をめざせ

先日東京のある老人ホームを訪ねた時の事です。

広くもない庭先の陽だまりで、あるお爺ちゃんこう言いました。

「何が淋しいたって、税務署に追っかけてもらえなくなったことだョ」

若い時からガンコ一徹で、働く事だけが生き甲斐だったこのお爺ちゃんは「まだまだ若い者には負けないだが」と腕をさすりながら言いました。

同じホームに居るもう一人のお爺ちゃん、若い時から絵を画くのが趣味で、今でもせっせと美人画などを画いて楽しんでいます。

 

「私の今の楽しみは、沢山の絵を施設へ持って行っては、子どもたちの喜ぶ顏を見ることですョ」柔和な眼をしたこのお爺ちゃんはこう言って「何の苦労もなく、今が一番幸せだね」と重ねて言いました。

 

 

現在の姥捨山とさえ言われる老人ホームの現状は、無気力、無感動という、まるで生ける屍の様な老人の集団が多いと言われています。

そんな中でかい間見たこの二人のお爺ちゃんの行き方は、大きな教訓でした。

 

今、日本は高齢化社会の一途をたどっています。老人問題をテーマにした本が出版界をにぎわしているのも、老後をどう過ごすか、また、老人ボケをどう防ぐかということが、いかに深刻な問題であるかを物語っています。

京大の奈倉道隆先生は「ほとける人間をめざせ」と言って「一般にボケ易い人は若い頃から頑固で感情的、そして我がまま人である」と言っています。

 

一方、頭が衰えない人は「明るく親しみ易く、世話好きで親切である」とも言っています。先生のいう「ほとける人間を」とは、心をほどき、物事にクヨクヨととらわれない人ということなのですね。

 

 

仏様の仏とは「ほどける」事だとも言われますが、これは私たちの心を縛る煩悩、つまり欲望や執着心から自らを解きほどき、楽な気持ちになる事の大切さを教えているのです。

 

◎現在社会においては、無気力、無感動で喜び感謝がありません。

そして欲望、執着心が多くあります常に「少欲知足」を心して楽しく過ごしましょう。

 

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