「今年こそは渡すぞ!」
去年から本命になったチョコは
人気者のゆいぽんには渡せない
誰にでも気遣いができて優しくて
ギターができて歌が上手でかっこよくて
だけど笑った顔はかわいい
いつから渡せなくなったんだろ
保育園のときから一緒で家が近かったから
毎年チョコあげてたのに
中学2年の時が最後かな
体育祭で活躍したり
文化祭には全校の前で演奏して
いろんな人に声かけられて
バレンタインもいっぱい貰ってた
紙袋2つくらいはあったと思う
だから私のチョコはいらないかなって
あげなくなった気がする
中学3年の時は受験だから
貰う量も少ないかと思って作ったけど
結局タイミング逃して渡せなくて
お父さんにあげてたな
高校も同じなのに
「元気ないなーゆうか」
「あかねん」
「それゆいぽん用の?」
「うん」
「去年は渡せなかったんだっけ」
「ずっと渡せてないよ」
「本命なのに?」
「本命だからだよ」
「そういうもんかー」
あかねんは高校に入ってから
友達になって唯一私の気持ちを知ってる子
「今年こそ渡しなよ?」
「わかってるよ!」
口で言うのは簡単なのに
渡す勇気が出ないんだよな
「ほらほら迎えきたよ」
「ゆっかー帰ろ」
「ち、ちょっと待って!
またね!あかねん」
「はーい」
高校は電車通学で
ゆいぽんと一緒に登下校してる
前に1人でも大丈夫だよって言ったら
心配だからって返された
私ってそんな危なかっしいかな
「今年もいっぱいだね」
「まあ」
「本命もらった?」
「んー多分あるけど……」
「けど?」
「私が本命もらいたい人からは今年ももらえなかった」
「へぇー」
ゆいぽん好きな人いるのか
じゃあなおさら私があげない方がいい気がする
「もうずっともらえてない」
「そうなの?」
「欲しいんだけどね」
「代わりに私のあげようか?」
悲しそうな顔するゆいぽんをみたくなくて
勢いで言っちゃったけど絶対断られるよね
「……じょうだ「代わりはいや」
「だよね」
「代わりじゃなくて
ゆっかーからはちゃんと本命が欲しい」
「え?」
「私はずっとゆっかーからの本命が欲しかったの
なのに中2の頃からくれなくなるし」
「それって」
「好きだよ、ゆっかーが」
うそ!どーしよ!両思いだったんだ
ゆいぽんが伝えてくれたから私も答えなきゃ
「私も好き」
「じゃチョコくれる?」
「はい」
「やった!本当に嬉しい」
「よかった」
「あ、友香
私と付き合ってください」
「私でよければお願いします」
「ふふっなんか恥ずかしいね」
「うん」
「帰ろっか」ギュ
今年のバレンタインは
すっごい特別な記念日になった
そしてこの日から私たちの登下校は
手を繋ぐようになった