強制執行の沼 ~それ、本当に差し押さえられますか?(不動産・動産編)~
こんにちは。司法書士の須永みわこです。
千葉県松戸市で司法書士事務所を開業しています。
裁判関係業務をメインとしている、司法書士では珍しい事務所です。
前回までは、預貯金や給料を差し押さえることについて書いてきました。
今回は、不動産と動産について説明してゆきます。
不動産の場合、差し押さえる方法としては、差押えの登記→強制競売または強制管理という方法があります。
不動産の状況によって異なりますが、配当金を受領するまでは、1年前後は見込んでおいた方がいいでしょう。
(そのほか、競売手続を進めてもらうため、裁判所へ100万円程度の予納金を納める必要があります。)。
不動産競売は、時間もかかりますし、手続もやや複雑になっています。
差押えの登記を完了しただけでも、相手への心理的圧力がかかりますので、その時点で和解→任意に支払いということもあり得ます。
ただ、差押えの登記が入っているかどうか、というのは登記簿を取得してみないと分からないことなので、そのまま居住している分には何ら今までと変わりないわけですから、全く気にしないという強者もいらっしゃいます。
一方、他の債権者が既に差押えをしていて、競売にかけても半分も受け取れないことが後からわかった・・・などということもあります。
動産の場合、家財や備品や道具、機械、什器だけでなく、宝石、貴金属、家財道具、電化製品、現金なども含まれます。家畜等の動物も含まれます。
さらに、株券、社債、約束手形、商品券等も対象となります。
ただし、自動車やバイク、航空機、船舶については特別な扱いがされていますので、別の方法をとる必要があります。
動産執行は、裁判所ではなく、執行官が行います。執行官自らが債務者の自宅や事業所へ出向き、動産を差し押さえ、競売にかけるところまでを行います。
動産執行は非常にダイナミックな手続きで、私も何度か執行官に同行してきましたが、なかなかドラマチックに進んでゆきます。
執行官と共に、執行期日に債務者の自宅や店舗へ赴くのですが、鍵屋さんを同行することと、トラックなどの手配が必要になります。
執行官は、差し押さえるブツを見つけたら、「差押え」という赤紙をぺたぺた貼ってゆきます。
しかし、実際には差し押さえる動産というのは、ほぼないことも多く、「差押不能通知書」を置いて帰る、ということも多々あります。
ただ、目ぼしい財産(ブツ)はなくても、預金通帳や証書が見つかった、というケースもあるので、そこから債権回収の道が開ける可能性もあります。
動産執行は、最後の最後に残された差押えの手段であるといえます。
動産執行は、日時を予告されることなくいきなり実行されますから、執行官が来たらもちろん近所の人にも分かりますし、みんな「なんだなんだ?」と野次馬で見に来ます。けっこうな騒ぎです。
こうなると、もう相手に精神的苦痛を与えることが目的・・・という感もあります。
ですので、動産執行は、メリットデメリットをよーく考えて、専門家に相談しながら、慎重に決断することをおすすめします。
さてさて、長かった「本人訴訟・調停支援」のシリーズは、一応これで終わりです。
今後は、訴訟や調停の更に突っ込んだお話を書いてゆきたいと思っています。
次回以降にも乞うご期待下さい!