前回①からご覧ください。トゥ周りのウェルト・コバの考察です。
～続き～
オールデン
ALDENは太い糸で力強く縫われていますね。
「雑」と言われることが多いALDENですが、ピッチも角度も安定していますね。
こちらもALDENですが、ウェルトの表面にギザギザをつけない「平目付け」という手法です。
低価格帯の靴、カジュアル系の靴に多く見られます。
リーガル・スコッチグレインなども多くがこの平目付けを採用しています。
出し縫いのピッチが安定していないと綺麗に見えません。
ちなみにジョンロブの通常ラインも平目付けです。
ガジアーノ＆ガーリング
どうでしょう。すごくきれいですよね。出し縫いのピッチも向きも位置も安定しています。
平面には刻みを入れず、角（外側エッジの部分）に刻みを入れる「面取り目付け」という仕様です。
コバの張り出しを抑え、エレガントな印象を与えます。
古い高級靴はこの仕様が多く、またコバの張り出しをギリギリまで抑えた物が多いです。
出し糸の通る平面には何も刻みがないため、ごまかしがきかず、縫いの正確さが求められます。
正確なピッチで真っ直ぐ、美しいですね。やはりここの仕事は他社と一線を画しています。
JOEWORKS
JOEWORKSも基本的にはガジアーノと同じ仕様です。
こちらも負けず劣らずの美しさ。甲乙つけがたいです。さらにコバの真ん中を薄く削り天地を残しています。
「もうひと手間」というジョーワークスのスローガンを体現するような細部へのこだわりですね。
こういうところがジョーワークスの良さであり、私がここのファンである理由のひとつです。
Foster&Son
グッドイヤーウェルテッド製法の既成ライン。
コロナ禍で双日が投げてしまったので、本格的な展開ができないまま終了するという悲劇的な運命を辿りました。
こちらは「ブラインドウェルト」と呼ばれる、ウェルトに切れ込みを入れて糸をかくしてしまうという変わった仕様です。
既成靴としては珍しいと思います。
このようにかなりこだわって作っていたにもかかわらず、無くなってしまったのは本当に残念ですね。
ヨウヘイフクダ
ヨウヘイフクダの既成ライン。ハンドソーン9部仕立てです。
同じくブラインドウェルトだと思いますが、こちらは切れ込みもほぼ消され、出し縫いの形跡が見えないようになっています。
目付のピッチが荒いのも相まって一見するとセメント製法のようにも見えてきます。
正確につくり、突き詰めると機械で量産した物に近づくという、ある種矛盾のようなモノさえ感じます。
勿論安っぽいということはなく、本当に溜息が出るような美しさです。
最後は既成靴の最高峰と呼ばれるイギリスの某社
！！？？何がどうなっているか分かりませんが、何かがどうにかなっています。これまで紹介してきた靴達とは明らかに違います。。
もちろんリジェクト品ではなく、普通に出荷されたもの（バイリクエスト品）です。
左右ともこんな感じになっています。。
不良品ではないし、靴としての性能に何ら影響がないので問題ないといえば問題ないです。
「100足に1足をつかまえて～」とかそういう話では無くて、近年このメーカーはこんな感じの品物が多いです。
いわゆるフラッグシップモデルです。海外通販で買った一足。
キャップのライン付近で軽く事故っていますね。。 それにしても革は良いですね。。
こちらは楽天の拾い画像ですが、やはりお世辞にもきれいでは無いですね。加えてコバのザラザラ感も気になります。。
昔はこんな感じで、雑といえば雑ですが、凹凸もはっきりしていて今みたいな状態ではなかったはずです。。
毎年のように価格を上げるのなら、こういった細部の品質や検品体制にもこだわって欲しいなぁ、と思ってしまいます。
昔の黄箱、茶箱時代の物を持っている方は是非大切に履かれると良いと思います。。
こんな細かいところにグチグチいうのはナンセンスなのかもしれませんが、
日本人の気質なのかオタクの気質なのか、細かいところに凝ってしまいます。
歩く上での性能は全く変わらないし、他人の靴のウェルト周りを見てる人なんて100人に一人もいないでしょうからね。
でもこういう部分を見ていくのが面白いんですよね。
Amazonで注文していた爆安コロニルシュプリームクリームが注文翌日に到着しました。
並行輸入だからか、このようなラベルが貼ってあります。
勿論中身はばっちりでした。
コロニルシュプリームは伸び、浸透力、艶、サラサラ感、どの点においても高次元です。
業界内の評価も凄く高いです。
難点はウッド系の香りと、1個3,000円超という高価格ですが、
今ならAmazonだと半額以下で買うことができます。
1,399円って安すぎます。。在庫があるうちに是非試してみてください。