登場人物紹介
イラスト入り登場人物紹介(まだ全部じゃありませんが…)が、ノルンディルが出て暫く後、アンサンテは再び制止を聞かぬ身分の高い来訪者が、メーダフォーテの書斎の扉を蹴立てるのを見つけ、慌てて駆け寄る。
が、今度はメーダフォーテは椅子から立ち、その黒髪で長身の、頑健な体付きの男に微笑む。
「レッツァディン!」
名を呼ばれた身分の高い武将は文句を言う口を大きく開けたが、メーダフォーテが先に言った。
「ノルンディルに、会わなかったか?
今、出て行ったばかりだ」
レッツァディンは出鼻を挫かれ、思い出そうと俯く。
メーダフォーテは肩をすくめた。
「すれ違ったか。
直ぐ後を追えば間に合う。
奴は、ギュンターを仕留めに行った」
レッツァディンの、蒼の瞳が輝く。
「居所が、解ったのか?!」
メーダフォーテは頷く。
「アイリスも一緒で、子供連れだ。
子供を狙え!」
レッツァディンは不満を隠し、すました顔でつぶやく。
「ノルンディルに、そう伝えよう。
ギュンターの他は、ディンダーデンとアイリスか?同行者は」
「それに、オーガスタスが護衛に付いている。
誰を殺っても、ギュンターには痛手だ。
だが俺個人的には、忌々しいアイリスを殺って欲しい」
レッツァディンは、たっぷり頷いた。
デーデ街道への道を、ノルンディルは赤毛の『豪腕』フォルデモルドと、近距離弓矢の名射手ドラングルデ。そして『死の刃』銀髪のラルファツォルを引き連れ、駆ける。
が、凄まじい勢いで追い縋る馬がノルンディルの横に並ぶと、彼はその乗り手を見て叫ぶ。
「レッツァディン!」
ディアヴォロス、そして兄ムストレス同様、“左の王家”の血を継ぐ、大貴族の中でもより、身分の高い男。
“左の王家”特有の艶のある黒髪。激しさを内に秘めた男らしい面構えを、こちらに向ける。
面立ちはさすがに、いとこディアヴォロスに似ていたが、この男と比べるとディアヴォロスの顔立ちは繊細に見える程、目、鼻、顎。どのパーツを取ってもディアヴォロスより大造りで頑健に見える。
この男が駆け付けた理由を、ノルンディルは解り過ぎる程解った。
兄ムストレス同様、一族で年下のいとこ、ディアヴォロスを心から疎んじており、彼を失脚させる為なら何だってするような男だ。
先だってまたもディアヴォロスの鼻をあかそうとし、逆に打ち負かされ、さぞかし鬱憤が溜まってる。そんな顔で横を並び、駆けている。
ディアヴォロス派の、一人でも叩き斬ってやる。
その、つもりだろう。
「珍しく、一人か?」
「俺の部下は、直追いつく」
ノルンディルは肩をすくめた。
が、レッツァディンが口を開く。
「メーダフォーテが子供を捕らえろと。
確かか?
アイリスが子供連れだと言う事は」
ノルンディルは吐息を吐くと、つぶやく。
「メーダフォーテの、推測が当たってるならな」
レッツァディンは真っ直ぐ前を見たまま言った。
「あの男の、こうだ!と言う事は滅多に外れない」
ノルンディルは、そうだといいが。と、もう一度吐息を吐いた。
つづく。

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