登場人物紹介
イラスト入り登場人物紹介(まだ全部じゃありませんが…)ノルンディルの、グレーの瞳がぎらりと輝く。
「全く、解らないのか?」
メーダフォーテは俯き、机の上の地図に手を置く。
「どこの街道も通らないなら、地下道を行くだろうな…。
が、近道だが待ち伏せされれば厄介な場所だ。
しかも入り組んだ迷路。
奴は迷いはしないだろうが…。
獣道ですら避けるあいつらだ。
まっとうな地下道はまず、通らないだろうな………」
ノルンディルが、大きな吐息を吐く。
「だが王宮の地下を通る主要三本の地下道の、どれかは通るんじゃないのか?」
「…とっくに部下を、配置済みだ…。
だがまだ姿を見せないと、たった今、報告が入ったばかりだ…。
この報告書の山を見ろ!」
ノルンディルは、書状だらけのメーダフォーテの机の上を見た。
「全部、奴らの居所は掴めぬと、不始末な報告ばかりだ!」
「だが『西の聖地』を出たのなら、奴らが向かうのは『神聖神殿』だろう?」
「今、『神聖神殿』のぐるりを囲む包囲網を配置している所だ」
が、地図を指し、メーダフォーテがふと、言った。
「俺が『神聖神殿』の周囲を固める事くらい、アイリスは想定済みだ…」
「だが、通らねば着かない。
強行突破する気だろう?
ギュンターにディンダーデン。
そしてオーガスタスにアイリスが揃えば、大抵の包囲は破れる」
「そうだ…。
なのに奴らはヌースの獣道でしか、それをしていない……。
なぜだ?
俺は消耗戦だと思った。
アイリスの進む道筋にどれだけ、人員を回せるかの勝負だと。
いくら奴らでも、戦い続ければ隙が出来る。
殺るか殺られるかの、攻防だと…そう読んでいた。
だから金をばらまき、雇えるだけのごろつきを雇い込んだ。なのに、そいつらは皆目標が現れず、遊んでる…………」
メーダフォーテは、真剣に地図を見つめ、考え込む。
そして一つ吐息を吐いて、つぶやいた。
「お前を馬鹿だと思っていたが、そうでもないのかもな」
ノルンディルはむっとして怒鳴る。
「どういう意味だ!」
「子供連れだと、言う事だ……。
それなら奴らが厄介な道を行き、戦いを避ける理由が解るし、子供の居所が知れないのも納得が行く」
「だから俺がそう言ったろう?」
「…奴らがまた、俺の部下を避けるとしたら…」
地図をその指が、探って行く。
「…ここだ!
王宮地下を大きく外れた『光の里』に出る、見捨てられた古代の地下道!」
ノルンディルが一気に首を横に振った。
「…そこは光の守護が行き届かず、通行禁止令の出てる地域だろう?」
「だがアイリスなら詳しい!
それに神聖神殿隊付き連隊は唯一、地下道を通る許可を受けている」
「そこが確かなら…」
「確かだ!
『光の里』に出れば、光の結界内を通って『神聖神殿』に辿り着ける!
俺の配置した包囲網の、裏をかける!」
ノルンディルが首を横に、振った。
「幾ら俺でも、自分の身を危険に曝してそんな危ない地下道でギュンターを待ち伏せる気は無いぞ!」
メーダフォーテは面を上げて微笑む。
「地下道の出口は『光の里』じゃない。
『光の里』迄、後僅かな場所だ。
それに、地上だ」
ノルンディルは、頷いた。
「直ぐ、発とう」
メーダフォーテも、にっこり笑った。
「援軍を直ぐ、手配する」
つづく。

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の2008/6/11から



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