アイリスは気づくと振り向き、その長身を少し屈めて顔を傾げながら、いつもの・・・優雅でとても人懐っこい、チャーミングな笑顔を零してささやく。
「どうしました?」
「私も君に随行する。
・・・そうすれば・・・一人頭斬り殺す数が、もっと減るだろう?」
アイリスは一瞬目を見開き、そして笑った。
「聞いて、らしたんですか?
でもローランデ。貴方はシャーネンを助けに行く命令を受けてる筈だ」
「・・・そっちはギュンターも居る」
アイリスは自分より背の低い年上の剣豪の彼に向き直り、やっぱりとても優雅な微笑を湛えてささやいた。
「ではそちらを、一刻も早く切り崩す事を願います。
ご存知の通りラロッツの居場所は、シャーネンが頑張って前進してくれないと逃げ場を完全に、塞がれますからね!」
行こうとするアイリスの腕をそれでも掴み、ローランデはアイリスを振り向かせて早口で問うた。
「辿り着けるのか?第一・・・辿り着いて、どうやって私達が逃げ場を開ける迄保たせる気だ?!」
アイリスはやっぱり、年上の尊敬する先輩の心配に、嬉しそうに笑った。
「私はあの辺りの地の利に詳しい。
約束します。貴方が来てくれる迄私達は決してくたばらないと。
頼りにしてるんです。ローランデ。
あなた方が切り崩してくれないと、私達はどれだけ切り殺したって、敵を全滅させない限り逃げ場が無いんですから」
ローランデは言葉を無くした。
つづく。

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