アースルーリンド外伝。テテュス編。『幼い頃』 26 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

二人はテテュスを挟んで座り、交互に気遣うように彼を見つめた。
「・・・アイリスが心配してね。妹の秘蔵の息子が二人も居て、テテュス一人で何かあったら、君がまた落ち込むんじゃないかって」
ローフィスが言うとディングレーもつぶやいた。
「・・・お前、何かあってもすぐ自分一人で抱え込むだろう?餓鬼の癖に、生意気なんだよ!」
二人は狼みたいに近寄りがたい雰囲気の男が、笑ってテテュスの額をこずくのを、目を丸くして見た。
テテュスも、笑った。
「じゃ、面倒見てくれるの?」
ローフィスは思い切り肩でため息を、わざと付き、
「仕方ないな」
と悪戯っぽく笑って言い、テテュスに、笑って叩かれた。
ローフィスが愉快な男で、ディングレーはそれは怖そうなのに実は子供に優しい男だと、二人が気づいたのは直だった。
食後に木の枝で騎士ごっこをして、はしゃぎ回った時だった。ファントレイユがふらつくと、ディングレーはさっと手を出し、彼の背を受け止めて転ぶのを防ぎ、ファントレイユはその素早い動作と気遣いに、それは感激していた。
ディングレーは低く横を這う太い木の枝にファントレイユと掛け、彼の質問を矢継ぎ早に、受けた。
「戦った事がある?」
「どんな風の戦い?」
「仲間と、はぐれたりした?」
ファントレイユの瞳がきらきらし、ディングレーは彼の中味は凄く男の子だと感じたものの、そのもの凄くお行儀のいい様子に、それで女の子っぽく見えるのかと合点が、いった。
ローフィスはレイファスとテテュスに追いかけ回され、二人を交互に担ぎ上げては地面に転がし、彼らはその度に体をうんと高く掲げ上げられて、きゃっきゃと笑い声を、立てた。
「・・・ディングレー!代わってくれ!こいつらまだ元気だ!」
二人はそれでもかかってくるのでローフィスはとうとう、二人に倒されて降参した。
「・・・負けた!」
「まだだ!」
テテュスが言うと、ローフィスは勘弁してくれと、笑った。襲いかかるテテュスを、ぱんと手で軽くはたき、言った。
「お前らで鬼ごっこでもしろ!」
レイファスは艶やかに笑い走ると、必死でディングレーから話を引き出すファントレイユの腕を、いきなり掴んで引き、
「テテュスが鬼だ!」
と叫んでファントレイユの腕を掴んだまま走り出す。
テテュスは転がったローフィスの上から体を起こし、途端に駆け出す二人を追いかけた。
レイファスは木の枝の下を潜って逃げ、テテュスはあっと言う間にファントレイユを捕まえ、ファントレイユは逃げるテテュスとレイファスをムキになって、追いかけ始めた。
ディングレーは木の枝に掛けたまま息の切れたローフィスを隣に迎えると、つぶやいた。
「・・・ありゃ母親の躾けがきちんとし過ぎるだけで、本人は騎士が大好きな男の子のようだ」
ローフィスが笑ってそう言う大貴族を見つめた。
「ちゃんと中味は男の子か?」
ディングレーは頷いた。だがローフィスが言った。
「・・・問題はあっちだな」
レイファスを見てローフィスがそうつぶやくと、ディングレーが唸った。
「問題は、テテュスだ」
二人は顔を見合わせて、頷いた。
レイファスが鬼でテテュスは彼に追いかけられると、とても嬉しそうに頬をピンクに染めていたからだ。
ローフィスが、レイファスを見た。
「・・・実はやんちゃで、気が強い」
ディングレーも唸った。
「頭の、回転も早い」
ディングレーは走り回る彼らを見てつぶやいた。
「俺達と暫く居たらちゃんと男の子に見えるようになると思うが・・・・・・・・・」
ローフィスが肩をすくめた。
「母親が許さんだろう?敵に回す根性が、あるか?」
「そんなのはアイリスの、仕事だろう?」
ローフィスはディングレーをまじまじと、見つめた。
「あいつにも、苦手な物くらいある」
ディングレーはすげなく『嘘だな』という顔をして言った。
「初耳だ」
つづく。