アースルーリンド外伝。テテュス編。『幼い頃』 25 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

朝、目が覚めるとまるで花の香りに酔ったような自分に、どうしようかと困惑した。
足元が、ふわふわとしていた。
しっかりしなきゃと下に降りると、朝日溢れる広間に騎士の姿を見つけ、テテュスは顔を、上げた。
「・・・ロー・・・・・・」
言い終わらない内に彼に、飛んで行って抱きついた。
いつもみたいにローフィスはテテュスを抱き止めるなり、抱き上げてくれた。
「・・・元気か?」
彼の顔迄抱き上げられ、その顔が間近でテテュスは彼の首に腕を巻き付けた。
ローフィスは気遣う表情を、していた。
金に近いとても明るい艶やかな栗毛で、明るい青い瞳をしたその軽やかな笑顔の伊達男は、でも少し悲しそうな顔に見えた。
「・・・たった今着いたの?」
聞くとその横に、ディングレーが、並んだ。
「・・・よぉ」
王族の血を継いでるのは、エルベス叔父さんも同じなのにこのディングレーは全然、威厳だとかが無い。
じっとしてるととても品良くて凄く男前に見えるけど、言葉も乱暴でぶっきら棒で、気取った所がまるで無かった。
黒髪や濃い青い瞳のせいか、とても鋭い感じがして、近寄りがたい雰囲気がある。そのディングレーの、とても男らしくて少し陽に焼けた引き締まった顔つきを目に、テテュスの顔がほぐれる。
「ディングレー!」
叫ぶと彼は、苦笑した。
それでテテュスは小声でささやいた。
「・・・うんと、しょげてると思った?」
ディングレーはテテュスを抱き上げているローフィスを見た。
ローフィスがテテュスの顔を覗き込んで明るい声で言った。
「・・・いや。こんなに歓迎されて、感激だ!」
笑いながらテテュスを下に降ろす。と三人は、広間の戸口の人の気配に振り向いた。
そこには、レイファスとファントレイユが顔を見せていた。朝日に照らされて彼らは本当に、人間離れして綺麗に、見えた。
「レイファス!ファントレイユ!ローフィスとディングレーが来てくれた!」
テテュスが二人に叫ぶと、二人は顔を見合わせた。
テテュスが二人の騎士に振り向くので、騎士達はテテュスの、後に続いた。
「・・・彼の、いとこ殿達だろう?」
ローフィスがそっとささやくと、ディングレーがぼそりと言った。
「・・・姫じゃなくて?」
ローフィスが、口の悪いディングレーを、“知ってる癖に”と目で諭した。が、ディングレーはやれやれと首を横に、振った。
ファントレイユはまるで彫像を見上げるように長身の、二人の立派な騎士を、見上げた。
「やあ!」
人好きのする笑顔でローフィスはその小さな子供に声をかけると、本当に大きな人形のように見えるそのとても綺麗な淡い色をした、綿飴みたいな髪を背迄垂らす、浮かぶようなブルー・グレーの瞳の子供は頬を、染めた。
もっと小柄で肩の上迄の短髪の、けれどとても鮮やかなウェーブのかかった栗毛がその顔立ちをとても明るく華やかに見せて、色白の小顔にとてもくっきりとした青紫の宝石のような瞳と、赤く小さな唇が映えるとても可愛らしい・・・どう見ても女の子にしか見えない子が、口を開いた。
「・・・テテュスが、来てくれたらいいのにって、待ってた二人の騎士ですか?」
姿の割にとてもしっかりした口調に、ローフィスも気づいたがディングレーも解ったようだった。
二人は瞬間、目を見交わした。
だがテテュスが、そのレイファスを見つめて頬を染めたりしたから、二人は少しため息を付くようにローフィスは顔を下げ、ディングレーは横を、向いた。
「着いたばかりで腹ぺこなんだ」
ディングレーが相変わらずぶっきら棒に言うと、テテュスは途端に微笑んだ。
「じゃあ一緒に食べられるね!」
二人はテテュスの笑顔に、途端に微笑んだ。
ファントレイユとレイファスの瞳に彼らは、テテュスの笑顔がそれは嬉しい様に、見えた。
つづく。