アースルーリンド外伝。テテュス編。『幼い頃』 10 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

4 大切な人

 全員が、デニーを取り囲んでおおはしゃぎし、すっかり遅くなったので食事が出された。
食堂に、彼らの親が通された。
「・・・・・・・・・父さん・・・・・・・・・」
ザックの父親は食卓に付くアイリスに視線を投げて一礼すると息子の側につかつか、と寄って、立ち上がる息子をいきなり、殴った。
パン・・・!
「・・・どうしてお屋敷の坊ちゃんと、遊んでんだ!」
怒声を放ちそして、アイリスにもう一礼してつぶやいた。
「本当に、息子が大変、失礼なこって・・・・・・・・・」
アイリスは静かに、立ち上がった。
「失礼なのは私の息子で、押し掛けたのは彼なんです。どうか・・・・・・・・・。
私の息子をお子さんの、友達で居させては貰えないでしょうか?」
その、大層素晴らしい立派な騎士に丁寧に言われ、農家の旦那は目を、丸くした。
「・・・・・・・・・あの・・・・・・・・・・・・」
アイリスは伺う顔を向けて聞いた。
「どうか・・・お願いします」
テテュスは農家の旦那にそうお願いするアイリスを、見つめ続けた。とても端正で凛々しくて・・・・・・礼儀正しかった。
「でも・・・・・・農家の子ですよ?
躾けもなっちゃないし、言葉使いも汚いし・・・。
いつも泥だらけで・・・・・・その・・・とてもお屋敷のお坊ちゃんと遊ばせるようなもんじゃ・・・・・・」
「私の息子は気にしないし、私もそんな事を、気にしたりはしない。
息子が選んだ友達を尊重します」
そう、静かに告げるその若い騎士に、農夫はつい、感極まって一礼した。
他の親達も、びっくりした。
ヨハンセの姉さんは思わず、つぶやいた。
「・・・だってお家は、貴族の中でももっと位の高い大貴族様でしょう?!」
アイリスは微笑んだ。
「私の家は代々が、騎士だ。戦場に赴くのが仕事で、そういう者に取っては、あまり位が高い事は、関係無いんです。死ねば、貴族も農民も同じでしょう?」
だがサルダンの父親がつぶやいた。
「戦場で領地の者の為に、立派に戦って死ぬ騎士が農民と同じとは、思えない」
だがアイリスは言った。
「・・・同じです。貴方方も家族の為にいつも、戦っていらっしゃる」
皆が、顔を、上げた。
テテュスはその光景を、不思議な物を見るように見つめた。 
彼らの親がまるで聖人を見つめるように、そう言ったアイリスを、見つめたからだ。
「・・・あんたさんのお子さんなら、いつも大歓迎でさ」
ヨハンセの、若い父さんがささやいた。
ザックの、母さんも頷いた。
「いつでも、歓迎します」
アイリスはその時、本当に嬉しそうに微笑んだりしたから、彼らはもっと、感激した。

つづく。