村の真ん中の、広場に面した場所に、雑貨屋が、あった。アロンズは布の下の二人にささやいた。
「もう少し、待っていて」
二人は、頷いた。
アロンズはじき戻ると又、荷台は動き始める。暫く行くと、止まった。
アロンズの足音がし、布を少し上げて微笑んだ。
「もう、いいよ。少しここで、休もうか?」
レイファスはそれは嬉しそうに、微笑んだ。
片側が木の立ち並ぶ森で、草原が広がっていた。
風が吹き渡り、花々のいい香りが、した。
アロンズは布を敷いて二人を、座らせた。
彼が草の上に腰掛けるので、レイファスが聞いた。
「アロンズは布に座らないの?」
「・・・だって、ファントレイユの服は汚すわけに、いかないだろう?」
とても優しくそう言われ、レイファスはセフィリアの事を思い出すと、頷いた。
三人の前には、ミルク壺と、グラス。それにパイと、ハムと野菜がサンドされたバーンズが、並んだ。
「わぁ・・・!」
レイファスが、声を立てる。
「でもあんまり食べて、昼食が入らないと困るから、少しにしてね?」
レイファスは、思い切り頷いた。
ファントレイユも頬を、紅潮させた。確かに、そんな気持ちのいい場所で、内緒の事をして、食べる食事はいつもより倍以上、美味しかった。
それに、凄い開放感が、あった。言いつけに、縛られてない。その事がこんなに違うのか、と思う程。
ファントレイユはレイファスがどうしていつも、そんな危ないマネをしても抜け出すのか、解った気が、した。「男の子なのに、冒険も無いなんて!」
レイファスはいつも、言っていた。女の子みたいと言われる顔立ちと、躾けのせいなのか、彼は折角自分が男の子で産まれたんだから、男の子に出来る事を全部、したいと思ってるみたいだった。
だけど・・・。
冒険を、ファントレイユも気に入った。それはとても、わくわくした。
つづく。