アースルーリンドの騎士追加特記その68 | 「アースルーリンドの騎士」

「アースルーリンドの騎士」

オリジナル  で ファンタジー の BL系小説。
そしてオリジナルのイラストブログ。
ストーリーは完全オリジナルのキャラ突っ走り型冒険ファンタジーです。
時折下ネタ、BLネタ入るので、年少の方はお控え願います。

シャッセルもヤンフェスも、レンフィールもアドルフェスもが、広間に飛び込んだ瞬間、その光景を、見た。
ローゼの刃がギデオンの背めがけて振り下ろされたその時、ファントレイユはギデオンの背に飛び込み様、手首を返してローゼの剣を、受け止めた。
がっ・・・!
ギデオンが、背後に人の気配を感じ、チラリと後ろに視線を投げ、直ぐにファントレイユの姿を確認し、その後刃を交えていた首領の剣を、力を込めて思い切り上へと跳ね上げた。そのまま剣を振り上げ、握りに力を込め、一刀の元首領の肩へと、振り下ろす。
首領は肩口から胸にかけてばっさりと傷を作り、血を滴らせてギデオンを、凄まじい瞳で睨み据えた。
ローゼは、止められた剣を引くと、乱打するように、降って沸いたようなその邪魔者めがけて次々剣を、繰り出し続けた。
ファントレイユは雨のように息付く間も無く振り降ろすローゼの剣を、全て受け止めて見せた。
ローゼの視線に一瞬、傷を受けた首領の姿が映り、その顔が焦りに歪む。
何としてもこの男をさっさと始末しなければ、職務の遂行は望めない・・・。だがこの男はファントレイユ。そこそこ使える程度の、やさ男だ・・・!
彼は更に握る剣に、力を込めた。
だがファントレイユはそのブルー・グレーの瞳でローゼを睨みすえ、一息も漏らさず降ってくる剣をことごとく受け止め、彼を討ち取ってギデオンを狙おうとする刃を、全て阻む。
瞬間、ヤンフェスの放った矢がごった返す人の頭上を抜けて飛び、ローゼに代わってギデオンの背に襲いかかる、部下の一人の、背を貫いた。
盗賊達は、敵が、味方を狙う様に混乱を起こした。が、ローゼの部下が、打ち合っていた盗賊を放り、ギデオンを取り囲み始めるのを目に、シャッセルが室内に駆け込むと、レンフィールとアドルフェスも後に続く。
ヤンフェスは自分の背を護ると言ったシャッセルが、さっさと持ち場を離れるのに思い切り肩をすくめたが、一つため息を付くと室内の壁に背を向けて、近距離用の弓を構えた。
ローゼの部下達は、入り口からなだれ込む、剣士達の前に次々に倒され、その様子に盗賊達は、浮き足だって室内から、逃げ出し始めた。
首領が逃げ出す彼らに、怒鳴りつけようと目で追う隙にギデオンが、更に激しい一振りを振り入れ、首領は肩から血を滴らせながらも何とかそれを、避けた。
が、次に首領が、これが終いだとばかり、ギデオンを討ち取るつもりで剣を、凄まじい気迫で思い切り振り被った時、それを察したギデオンは一瞬剣を後ろに引き、首領が剣を、振り下ろすより先に懐に飛び込み、その身毎剣を腹へと突き入れ、深々と腹を刺してはさっとその身を、剣毎引き抜いた。
首領は首を垂れ、剣を落として脇を抑え、そしてそのまま、床に崩れ落ちた。

     つづく。