毎年、箱根駅伝が終わると
必ずと言って良いほど出るのが
「箱根駅伝の弊害」という記事です。
「箱根駅伝が若い選手のゴールになっていて
その後の夢を追えない」というものです。
確かに箱根の盛り上がりに比べれば
実業団駅伝の地味さは感じて当然です。
それ以前に、関東インカレの盛り上がりに比べて
実業団の大会は、本当に盛り上がりに欠け
地味の何物でもありません。
そんな環境下では、大学卒業後に世界へ向けて
夢を追えないのは仕方のないことかもしれません。
それを学生に求めるのではなく、
指導者に求めるのが本当の筋だと思います。
現在の実業団の指導者で、本当の意味で
世界とかけ離れてしまった状況に真剣に向きあい
現状を打破する為に努力を惜しまない指導者は
限られてきます。
「指導者だって生活がある。夢ばかり追っていられない」
平然とそう語る指導者もいるくらいですから
そんな環境下に居る選手達から
世界を目指す選手など出てくるはずもありません。
世界を知っているようで知らないという現状も
世界との差が開く一方の理由です。
独自の観点で世界を目指したのは、
瀬古さんを育てた故中村清監督、
有森裕子さん、高橋尚子さんを育てた小出監督、
真木和さん、野口みずきさんを育てた藤田監督です。
特に、小出監督・藤田監督は、
金メダリストを育てた経験と実績があります。
20年前の気持ちになって、もう一度、
世界に通じる選手を育てる為の猛練習法を
若い指導者達に伝えて欲しいと思います。
「少ない練習量で世界を目指す」
「アフリカの選手のような走りを目指す」
そんなことを言っている指導者に
「それは違う!」とダメ出しをするくらいに
自分たちが世界へ挑んだ厳しい道のりを
伝えて欲しいと思います。
世界に近い位置居た、瀬古利彦氏、伊藤国光氏、
宗兄弟(茂・猛氏)、中山竹道氏、森下広一氏、
谷口浩美氏などは、個性の強さからくる
競技力の高さが土台であったので
自分とは違う価値観を持った選手を指導するのが
難しかったというのもあります。
森下氏、高岡寿成氏は、現在指導者として
世界を目指す選手を育成していますので
まずはここから選手が出てくることを期待したいです。
世界を知っているからこそ、その道のりを
きちんと伝えられるのは事実です。
日本は世界有数の情報化社会ですので、
世界中の情報を集めやすい環境にあります。
しかし、逆に、知識はあるものの、
実際に見たことがないという指導者が多いのも
疑いの無い事実です。
日本陸連国際部の情報収集力も低いです。
どうして、単身乗り込んでいく気持ちを持った
若手指導者を海外へ飛び出させないのか、
何がどう違うのかを見て聞いて体験して
持ち帰ってくることをさせないのか。
指導者海外研修システムが
上手く機能していないと言われて当然です。
世界との差が開く一方なのがそれを物語っています。
世界との差を埋められない理由を、
箱根駅伝のせいにしている時点で既に読み違えなのです。
変わらなければいけないのは、組織と指導者です。
選手のせいにするのは、本当に筋違いです。
こういう例え話があります。
「マラソンを走ると駅伝は走れない」というのを
覆したのが、渋井陽子選手、土佐礼子選手を
育てた鈴木秀夫監督です。
かつて、11月3日に東日本実業団駅伝を走り、
11月中旬の東京国際女子マラソンを走ると
12月の全日本実業団女子駅伝に影響があると
言われていたのを、
「全然平気、走っちゃうよ」と一蹴し
三井住友海上の黄金期を作ったのは
記憶に新しいと思います。
高橋尚子さんだって駅伝を走ったあとすぐの
アジア大会で2時間21分の快記録を出しました。
駅伝を走った後、休ませるどころか、
出発する日の朝に、30㎞を全力で走らせています。
そして、あのアジア大会優勝です。
セオリーや常識、壁なんてものはないのです。
それらは指導者が勝手に作っているもので
指導者が全然平気と思えば、
選手も壁を作らなくなるのです。
箱根を走る選手達の意識を変える為には、
まずは、指導者の意識が変わらなければ
何も変わらないというのは、世界を見てきた
小出&藤田監督は、分かっていることでしょう。
まだまだお二人には、現場で活躍して頂かなくては
ならないと切に願っています。
勿論、先にあげた、真剣に世界を目指して
努力をされている監督さんもいます。
「日本の陸上界を変える為に尽力を注ぐ」と
年賀状に書いて送って下さった監督さんもいます。
まだまだ日本のマラソン界も捨てたものではありません。
何かがひとつ変われば、大きな変動が起きます。
そういう時期が間もなく来ると思います。
リオデジャネイロでは、男女のマラソンで
メダル獲得が達成されるよう、
皆で期待し、応援しましょう。