摂食障害について | より速く、より強く、そして・・・より美しく!

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速いランナーになる為に必要なこと
強いランナーになる為に必要なこと
美しいランナーになる為に必要なこと

~すべては、ここから始まります~

私が指導している選手達は、いわゆるプロランナーです。

実業団に所属していますが、会社には通わず走るのが仕事です。

そんなプロ選手達が直面している問題のひとつに

摂食障害」があります。


精神的な原因による発症が大きいのですが、実業団のチームにも

各チームに最低一人は居ると言われる極めて難しい問題です。


プロとアマの違いは何か?

単純に言うと、そこに義務や責任があるか無いかです。

プロは、ある程度の収入と引き換えに、宣伝広告の役目として

大会での活躍が使命となります。


ちょっと古い言葉ですが、青春を謳歌する20代。

女性としてオシャレや異性にも興味を持ち、お酒を飲んだりもする時期に

選手達は、体脂肪を減らし体を絞り、管理された環境で毎日を過ごします。

たまのお休みに、「友人とちょっとお出掛け」。

そんな時でも食べ物に気を遣い、甘い物はダメ、油ものはダメ、

あれもダメ、これもダメ・・・そういう日々が数年間続きます。


基本的に高校を卒業して入った選手に与えられる期間は3年。

大学卒業の場合は2年である程度の結果が出なければ

違う道を選ぶように通達されると言っても良いと思います。


ですから、「結果を出さなければいけない」というプレッシャーを

感じながら床に就き、朝を迎える日々を繰り返します。


そういうプレッシャーの中で生活していると、

精神的にバランスを崩す選手が出てきます。


やたらと攻撃的な性格になったり、躁鬱の激しい性格になります。

衝動買いをしてしまう選手もいれば、食べ物に走る選手も出てきます。


精神的にもタフで、「結果が出ないからってなによ!」ぐらいに

図太い性格の選手は問題ないのですが、真面目な性格の選手ほど

深みにハマってしまうのです。


摂食障害」。

聴き慣れた言葉かもしれませんが、本当に奥が深く難しい問題です。

過食と拒食を繰り返し、人格が変わってしまうほど食べ物に執着します。

思春期に厳しく食事制限され、頭ごなしに叱られながら指導されてきた

選手ほど、摂食障害を抱えているというのも事実です。


私は、この問題に対して、自分達の経験で解決するのではなく、

専門の先生のアドバイスを受けながら症状の回復をはかる

取り組みをしています。


摂食障害を抱える選手は、愛情に飢えている

皆で愛情を注ぎ、時間をかけて一緒に解決してゆく


そういう姿勢が何よりも大切だということです。


ある選手が、「こっそり、アイスクリームを食べてしまった」と

打ち明けてくれた時、私はこう言いました。


そうか、アイス食べたのかぁ?美味しかったか?

今度食べる時には、俺の分も買ってきてくれよ

どうせ食べるなら、皆で一緒に食べたら、もっと美味しいよ!


怒られると思ってビクビクしていた選手の顔から緊張が取れ、

たちまち明るい表情に変わっていったのを覚えています。


メンタルケアの専門医いわく、それは100点満点の対応だそうです。

一緒に食べようという言葉が、精神的な安心感を与え、

次第に一人でこっそり食べるという行為はなくなってくるそうです。


多様化する今日の社会の中で選手の質も変化してきています。

何が良くて何が悪いというのは、一概には言えませんが、

メンタルケアやメンタルサポートといった取り組み無しには

選手の育成が難しい時代であることは間違いありません。


このブログでは、アスリートが抱える問題について

今後も例を上げながら紹介してゆきたいと思います。


私もまだ勉強中です。

皆さんの経験や専門家の方からのご意見を頂けたら幸いです。


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