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西加奈子氏の「きりこについて」(角川グループパブリッシング)を読んだ。


大阪に生を受けたぶすのきりこと、天才黒猫のラムセス2世が繰り広げるちょっとコミカルでサイケデリックな日常の物語である。


きりこは、両親の寵愛を一身に受け幼少期を過ごすが、周りの誰とも違う容姿から、ぶすというレッテル貼られるがゴーイングマイウェイの人生を送っている。

両親から可愛いと連呼され、同級の女子や男子からも一目置かれる存在として生きていた。ラムセス2世も、あんたは凄い人というので、一つも疑わず成長した。


しかし、初恋の相手こうた君にある日ぶすと言われ、自分がぶすであることを知るきりこであった。


変な宗教にはまる元田さん、長寿猫のおぼんさん、漫画家のみさちゃん、大人の魅力に溢れるちせちゃんなど強烈なキャラに目眩がするストーリーになっています。


予知夢をみる力があるきりこが、ちせちゃんがレイプされるのを知り、やがてAVメーカーを二人で立ち上げ、そこに昔の仲間も加わっていくことになります。

きりこは、他人が自分をぶすと判断するように自分も他者の容れ物を見て好き、嫌いを判断していたことに気づきます。


本来の自分らしい生き方を見付け出す人たちの物語でもあります。


まあ、猫はそんなことは、世界が、肉球より丸いと知るより先に分かっている賢い生物であります。


人間は、自分を取り戻すために回り道したり、人生を違うたりするバカな動物なのです。にゃ~。

病室にも日は昇る

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二十九日には、わたしの家族を呼び担当者会議というものがあった。


PTさん、OTさん、STさん、看護師さん、ケアマネージャーさんなどが参加し、いまのわたしの状況や退院後の生活などをどう支援していくかが話し合われた。


あと、わたしがどのくらい歩けるか、階段の昇降ができるかを間近で見てもらった。多数の人たちに、じっと見られていると、めちゃ、緊張するやん。血圧計も高くなってるし…。


やはり階段とか、お風呂場の段差が問題になり、リハビリとお風呂を使えるデイサービスをしばらくは利用することになりそうだ。
そして、退院の日が年明けの一月十一日に決まったようだ。


十一日だから、このリハビリ病棟でリハビリできる日数もそれほどないのだ。ここを出てからも、訪問リハビリなどもあるみたいだから、退院後もゆっくりしていることはできそうにもないが…。


三十日は、ST、OT、PTが午前と昼過ぎにフルタイムあり、リハビリさんたちも大半がお正月休みに入った。正月期間中も、リハビリスタッフたちが十人ぐらい出勤して、リハビリはあるようだ。わたしもお正月休みは、例年仕事だったので正月休みも関係ない病院は本当に大変なお仕事だと思う。


そんなこんなで、わたしの二〇二〇年は終わろうとしている。今年は病の年だった。個人的には脳出血でやられ、社会的には新型コロナでやられた年だった。あらゆることの変容を迫られた年と言えよう。わたしも肉体的には障害を負ったというより、変容したと捉えるようにしている。その先に、再生=再構築の未来は拓けているのだろうか…。

二〇二一年も波瀾万丈の年になるとは思う。
二〇一九年一月中国の威信をかけた月面探査機・嫦娥(じょうが)四号が世界で初めて月の裏側に軟着陸を成功させた。


月の裏側には探査機を飛ばすなと言ったのに、まったく中国人というのは、恐れを知らないとトランプ大統領は怒りに打ち震えた。人類の命運もあと何年もないかもしれない。日本の晋三に中国との仲介を頼んだのに、まったく頼りにならない奴だ。やっぱ俺が中国に乗り込むしかないか。北京ダックバーガーでも食ってくるか、とトランプは独り言ちた。


その頃、嫦娥プロジェクトに参加したスタッフたちを習近平中国国家主席が労っていた。「君たち凄いあるね。これで中国はアメリカを出し抜けるある」と習は破顔した。


そのとき、嫦娥の無線システムが勝手に信号を送ってきた。なにものかが、通信システムを使っている。司令室は、騒然となった。習は、アメリカの野郎と怒鳴り散らした。


習は、ホットラインでトランプに謝罪を求めた。
「あぁ~、やっぱりあったんだ。それ、うちじゃないよ。信号を分析してよ。どちみち、もう後戻りできないけど、ムーン・マンを怒らせたから」とトランプは間延びした声で回線を切った。


習は、ムーン・マンというのを初めて聞いた。頭の中を疑問符と☆彡がグルグル回った。


嫦娥のスタッフが分析結果を習に持ってきた。聞くとなにやらカウントダウンが始まっているという。あと月の裏側という写真を見せられた。習の顔に恐怖の表情が浮かんだ。月には仙女も、兎もいなかったあるよ。


二〇二〇年新型コロナが猛威をふるい。


二〇二一年月の裏側から強力なビームが地球に向けて発射された。