すべての人間の人生を写し取り、文字の中に、物語のなかに閉じ込めることが彼の幼い頃からの夢だった。
しかし、自分の人生と時間にも限りがあり、限界があった。一日の時間を二十五時間にすることができたら、どんなにか彼は助かるだろうと思った。
彼は眠る時間を削り、人々の暮らしや思考の痕跡を写し絵に活写することにした。そのために、濃い珈琲を愛飲し、昼も夜もなく大量に摂取した。珈琲を飲んでいることで、文字を綴ることが進んで、頭がはっきりと覚醒するのが分かった。
現実も、夢も彼のなかでは等価だった。人々の生きている鼓動が、珈琲の匂いと伴に彼の思考の襞の奥底へと定着した。
彼は人々の痕跡を文字のなかに閉じ込めることで、人々の人生を左右し、王様のようにふるまった。あるものは、金持ちから貧乏人に転落し、あるものは社交界で成功し、あるものは狂気のなかで人生を閉じた。
彼は王様である印として、虫が閉じ込められた水晶が持ち手についた杖を常に持ち歩るくようになった。虫が閉じ込められた水晶は、かなり珍しく、探すのに苦労した。
彼の創作活動は、十年となり、何十年にもなった。
ふっと彼は自分の人生を文字のなかに閉じ込めていないことに思い当たった。
時間は残されていなかった。老人になった彼には、文字を綴るペンを持つ気力も、珈琲で覚醒する気力もなくなっていた。
時間との闘いに敗れたように老人は灰のように真っ白になった。
彼のそぱには大量の原稿用紙と王様の印である杖だけが、残されていた。
しかし、自分の人生と時間にも限りがあり、限界があった。一日の時間を二十五時間にすることができたら、どんなにか彼は助かるだろうと思った。
彼は眠る時間を削り、人々の暮らしや思考の痕跡を写し絵に活写することにした。そのために、濃い珈琲を愛飲し、昼も夜もなく大量に摂取した。珈琲を飲んでいることで、文字を綴ることが進んで、頭がはっきりと覚醒するのが分かった。
現実も、夢も彼のなかでは等価だった。人々の生きている鼓動が、珈琲の匂いと伴に彼の思考の襞の奥底へと定着した。
彼は人々の痕跡を文字のなかに閉じ込めることで、人々の人生を左右し、王様のようにふるまった。あるものは、金持ちから貧乏人に転落し、あるものは社交界で成功し、あるものは狂気のなかで人生を閉じた。
彼は王様である印として、虫が閉じ込められた水晶が持ち手についた杖を常に持ち歩るくようになった。虫が閉じ込められた水晶は、かなり珍しく、探すのに苦労した。
彼の創作活動は、十年となり、何十年にもなった。
ふっと彼は自分の人生を文字のなかに閉じ込めていないことに思い当たった。
時間は残されていなかった。老人になった彼には、文字を綴るペンを持つ気力も、珈琲で覚醒する気力もなくなっていた。
時間との闘いに敗れたように老人は灰のように真っ白になった。
彼のそぱには大量の原稿用紙と王様の印である杖だけが、残されていた。