
横関大氏の「再会」(講談社)を読んだ。
第五十六回江戸川乱歩賞を受賞した推理小説です。
美容室を経営する岩本万季子のもとにスーパーの店長佐久間秀之から電話が架かってくる。息子の正樹が万引きをしたので、スーパーまで来るように要求される。秀之は小学校のとき同級生だった直人の兄で、素行の悪い人物として地元では有名な人物であり、万季子とも少なからず因縁があった。
万季子がスーパーに行くと、息子正樹の万引きの様子が映った防犯カメラの映像をネタに秀之は金銭を要求した。万季子は正樹の父親で元夫の圭介に相談し、圭介と一緒に秀之と交渉するため臨む。
秀之はさらに要求をエスカレートさせ万季子の身体を要求してくる。秀之の要求が一回、二回で済むものではないと考えた万季子と圭介は高額の金銭で秀之と交渉しようと再度スーパーの事務所向かうが、秀之はすでに拳銃で撃たれて死んでいた。
秀之の死体が発見されるとすぐに万季子と圭介の元には刑事が尋ねてきた。尋ねてきたのは同級生で刑事になっていた淳一と県警捜査一課からきた南良の二人だった。
秀之が殺され何十年振りに再会した万季子、圭介、直人、淳一だったが、彼らは二十三年前に地元で起こった銀行強盗、警察官射殺事件にかかわっていて、タイムカプセルに警察官射殺事件に使われた拳銃を入れて埋めていた。
しかし、その拳銃が秀之殺害に使われた拳銃だった。それぞれが抱えていた心の傷が二十三年という歳月を経て明らかにされていく…というストーリーです。
現在起こったスーパー店長射殺事件と二十三年前に起きた警察官射殺事件で使われたのが警官の制式拳銃ニューナンブだったことから県警捜査一課の南良は、過去の事件に疑問を持ち地道な捜査を進めていき、意外な事実につきあたるというドラマチックな展開になっています。
小学校時代の親友万季子、直人、圭介、淳一たちが大人になり、それぞれが抱えていた心の傷、闇が事件を切っ掛けに氷解していきます。
埋めたタイムカプセルをめぐって、お互いを疑うかたちになっても最後には、お互いの心がタイムカプセルを埋めた幼き日と変わってないことを確認することになります。
なかなか緻密な構成で過去を現在から浮き彫りにする手法がとても面白かったです。
ただ、事件の発端となる万季子の息子正樹が何故に万引きなどしてしまったのか、別れた父親と会うことも少なくなって寂しかったからというのではあまりにも動機に強さがないと思いましたし、銀行強盗の本当の首謀者がなぜ犯罪に手を染めるようになったのか、その辺りの動機、説明も少ないように感じました。
あと、圭介は再婚して妊娠している妻がいるのに元妻の万季子にそのことを言わずに、元妻と関係を持ちそうになるなど、どういう倫理観なんだかと思ってしまいました。どことなく優柔不断で、秀之と一番最初に交渉したときに秀之にそれは恐喝だと圭介が強く言えば、万季子を追い詰めることはなかったのではないでしょうか。
何と言っても、仲間の中で一番強かったのは圭介だったのですから。その強さと再婚した事実を伝えることを延ばし、延ばしにする圭介の女々しい人物像がなかなか一致しませんでした。
そして、個人的には「再会のタイムカプセル」というタイトルの方が「再会」より分かりやすいと思います。「再会」だと純文学系統のタイトルのような気がしちゃいます。

