
西村京太郎氏の「幻想と死の信越本線」(集英社文庫)を読んだ。
本書は、「阿蘇で死んだ刑事」「北の果ての殺意」「南紀 夏の終わりの殺人」「幻想と死の信越本線」の四編からなる短編集である。
「阿蘇で死んだ刑事」は、九州の南阿蘇鉄道で起きた電車爆破事件の謎に警視庁捜査一課の十津川警部が立ち向かうミステリー。南阿蘇鉄道の爆破では、同じく一課刑事が乗り合わせており、死亡していた。非番の加東は、連続婦女殺人犯を追っており、それで爆破に巻き込まれたようだ。爆破に巻き込まれた犠牲者のなかに、殺人犯はいるのか?そして、爆破犯は誰なのか、十津川警部の推理は進みます。
連続殺人を目撃したことをネタに、殺人犯をゆする男たちの姿が浮かび上がってきますが、そんな連続殺人犯なら脅されるより、躊躇せず男たちを殺しそうだけど…。
表題作の「幻想と死の信越本線」は、トラベルライターの書いたエッセイを読んで、書かれていた旅館の十一年前に火災で死んだ身元不明の死体は、私の姉ではないかと妹が不審を抱く。そして、そのトラベルライターも、小諸に向かうあさま3号の車内で殺されてしまう。殺人事件と十一年前の火災を繋ぐものは何か、十津川警部が謎に挑むというストーリーです。
姉を殺されていたと信じていた妹と心情を考えると切なくなる結末になっています。
西村京太郎の十津川警部シリーズは、病院などで軽く読むにはいいと思います。閉鎖された病院から、列車に乗って日本各地を旅することが簡単にできます。