他者の痛みを理解してやることはできないし、その痛みの総量を理解してやることはできない。新型コロナが拡大しているが、昨日まで元気だった人が、前触れもなく死んでしまうこともあるという。医療関係者でも心身を病んで命をたつ人もいるという。


緩やかに人類という種が絶滅していく過渡期なのかもしれない。アメリカの旅行鳩は、人間が沢山いるからと、猟銃で撃ったり、食材として捕獲したので前世紀に突如として絶滅した。あれだけいる鳩が絶滅するわけないと人類は思っていたが、数年で種を絶滅させたのである。同じように人類によって滅ぼしてしまった種は数えきれない。


今度は、人類の番だとされて地球から審判される側に回ったような気がしてならない。


善悪の問題、是か非かの問題ではなく、生命史の大きな潮流のなかで、人類はどのような選択をするのか?という問題であると思う。他者の痛みというよりも、なにを理解できるかであり、相変わらず、覇権主義にとりつかれている人類に果して未来があるのだろうかと思う。


絶滅した五十億以上の旅行鳩が、どこかの空から人類をみて嘲笑っているかもしれない。


新型コロナは、突然どこからかふってわいたわけではなく、人類が人類の種としてやってきたことの結果なのかもしれない。


痛みの種類にもさまざまなものがあることを忘れてはならない。
「ここから出してくれ」、「しゃばにだしてくれ」という患者さんの哀訴はよく聞く。刑務所でも、牢獄でもないから、自由である筈であるが、まあ、健康になるまでは自由な生活がある程度制限されるので、そう思うのも無理からぬことである。


私も八月から長期入院になっているが、あまり不自由な思いはしていない。必要最低限の食事は用意されているし、元々間食はしないし、酒もタバコもやらないし、寝床も用意されている。ある意味、ユートピアのような環境だと思う。なぜ、そんな環境からはやく出たいのか意味が分からないのだ。


環境が変わって、枕が変わって眠れない人をたまに見かけるが、そんな繊細な神経は持ち合わせていない。ぐっすり睡眠時間を確保している。麻痺しているほうが痛んでも、そりゃ、麻痺してるんだし痛いと諦めがつく。


規則正しい生活で快調なほどだ。


一番の不便は、病院に設置されてある本を読んでしまって、ほかに読みたい本がないことだろうか。まあ、それも絶対に必要なわけではない。無人島にでも漂着したと脳内妄想を膨らませればどうにか現状を乗り切ることは可能だ。


いま大地震が起こるとか、原爆が投下されたヒロシマやナガサキにタイムスリップすることを考えれば、ここは地上の楽園にいると思える。
ダン・ブラウン氏の「天使と悪魔 下」訳=越前敏弥氏を読んだ。


イルミナティの陰謀と反物質に恐怖する枢機卿たちを前に宗教の正統性について深遠なる演説を展開するカメルレンゴ。コンクラーベ中止を決意する。


次期皇教候補者たち四人のうち、三人を暗殺者に殺されたラングドン。次の暗殺場所であるベルニーニに関係する場所を必死に探す、ラングドンに啓示の道が指し示される。


そこは、ナヴォーナ広場にあるサンタニェーゼ・イン・アゴーネ教会にある四大河の噴水だった。暗殺者と水の中で、対峙するラングドン。水球でならした彼は、この対決に勝機があるように見えたが、枢機卿をまたも殺されてしまう。敗北感に打ちのめされるラングドンだったが、イルミナティのアジトを探しだし、ヴィットリアを救出するため最後の力を振り絞る。イルミナティのアジトは、意外にもヴァチカンのそばにあり、サンタンジェロ城とつながっていた。そこには、暗殺者に捕らわれたヴィットリアが…。

ヴィットリアを救出するために、暗殺者=ハサシンと直接対決するラングドン。暗殺者を倒したヴィットリアとラングドンだったが、暗殺者ハサシンから今回の首謀者ヤヌスの存在を知らされる。


一方、カメルレンゴは、マクシミリアン・コーラーと皇教室で会見する。コーラーは、宗教のお陰で麻痺のある姿になり、キリスト教に深い恨みがあった。カメルレンゴを車イスに隠していた銃で殺そうとするコーラー。二人が揉み合っているところに、扉を蹴破り侵入したラングドンらの目撃したのは、銃弾に倒れたコーラーと、イルミナティ・ダイヤモンドといわれる焼き印を体に押されたカメルレンゴの姿だった。瀕死のコーラーは、ラングドンにビデオを手渡す。神がかりのように反物質の在処が解ったと走り出すカメルレンゴ。


そこは、サンピエトロ大聖堂地下にあるカタコンベにある聖ペテロの墓の上だった。反物質の爆発を阻止してヴァチカンを守ることができるのか…。タイムリミットは迫っていた。


科学と宗教に翻弄される悲喜劇ですな。科学を言い訳にするのも、宗教を楯にするのも人間の愚かさにあります。


小説は、最後の最後までどんでん返しがあります。


まあ、対消滅でヴァチカンだけですむのかというのはありますが…。