外出先から会社に戻ると、建物の中からセミの鳴き声のような音がする。
室内に入ると、凄い・・・大音量であります。
「なんじゃい?この音は?」
と聞くと、Sさんが黒い携帯を持ってオロオロしとる・・・だれの携帯じゃ?
この携帯から、セミの鳴き声のような激しい音がしていました。
「お父さんの・・・会長の携帯が、突然、ブザーが鳴るようになっちゃったみたいで。」
んで・・・当事者である携帯の所有者は、あまりの大音量の金属音に耐え切れず、
2Fのほうに、逃げていってしまったそうな。
携帯を見ると、
『警報ブザーを消すためには暗証番号を入力してください』
と出ていた。
「押せばいいじゃん、暗証番号。」
「それが、会長・・・暗証番号、覚えてないみたいで。」
電源を切ろうとすると、
「電源もきれないんですぅ~。」・・・・と、Sさん。
ホントだ・・・切れんわ・・・・いつまでなり続けるんだ、この音は?
「あー頭痛くなってきた。」
と、言って、妻もどこかに消え失せた・・・に・・・・逃げおったな。
ふと見ると、Sさんは、ネットで携帯メーカーのホームページにアクセスしながら、
必死に暗証番号のわかるページを探してるようなんですが・・・。
「んなもん、簡単にわからんだろ?・・・かといってショップに持ち込んだって暗証番号なんて、
絶対、教えてくれんだろうし。」
「ですかねぇ~、やっぱり・・・。」
と言いながら、あたふたしながら、大音量の携帯の横で、PCにかじりつくSさん・・・・。
「こういう時はなー。」
と、言いながら、私は、携帯の後ろ側の蓋を開け、電池を取り出した。
もちろん・・・・ブザーは、ピタッと鳴りやんだ(あたりまえ)。
で・・・もう一度、電池を入れて、ONにすると、携帯の電源は立ち上がり、あっけなく元どうり。
「なんのこっちゃ。
あのな・・・・Sさん・・・・こういう時は、原始的なやり方が一番、早いんよ。
何事も、さっさと、てきぱき処理しましょう。」
「あ・・・・はい。」
まさしく・・・強制終了・・・の勝利でした。