もう一つの仕様 | WAS IT ALL WORTH IT ?

当社の分譲住宅には、ご予算のないお客様のために「エコノミー仕様」というものがありまして、

この仕様は、どの程度の仕様かと言いますと・・・・一言で、はっきりと言ってしまえば、


「アパートがそのまま一戸建てになった」仕様・・・・です。


ですから・・・・・。


「床暖房」「食洗器」「ミストサウナ」なんてものはもちろん付いていません。

「キッチン」も「ユニットバス」も「洗面化粧台」も選べません・・・・一番安いシリーズで決まり!

サッシのガラスも「ペアガラス」ではなく、結露する汗シングルガラス。

室内の建具も、壁紙のクロスも、外壁材も、玄関ドアも選べません・・・・。

屋根は、最もコストが安い「カラーベスト」。

さすがに網戸は付けますが、2Fはシャッター雨戸がありません。

インターホンも「カラーモニター」なんて付いていません。

トイレは1Fのみウシュレット。2Fは暖房便座のみです。

24時間換気システムは、集中型を採用しますので、建具には全部、アンダーカットができます。

スイッチはホタルスイッチは不可です。

ブラケットのような間接照明やニッチなど・・・・・付いているはずがありませぬ。

バルコニーは一か所のみ。面積は1.5帖サイズまで。それ以上はオプションです。

勾配天井、ロフト、小屋裏収納なんてモノ・・・・あり得ません。


構造体以外は、極力、仕様を落としたタイプで・・・・価格の安いローコスト系の

分譲住宅会社さんが採用している仕様です。


実は・・・・私達は、このタイプの仕様があっても、一度も採用したことがないのです。

せっかくお金を出して、一生に一度の大きな買い物をするのですから、

貧相な建物はちょっと・・・・と、いうお客様がほとんどでしたので、

それなりの建物をつくってきたつもりなのですが・・・・。


ところが最近、ここ一年くらい、明らかに、お客様が二極化してしまって、


『文字通りの「注文住宅」をつくれるお客様』


と、


『一戸建てだったら、アパート仕様で、ぜんぜんOKです・・・お金無いんで!』


と、いうお客様に、くっきり、はっきりと分かれてしまいました。


当社もいよいよ、近々、「エコノミー仕様」が登場するかもしれません。

少し前までは、各分譲住宅会社さんは、仕様の高さを競い合ったものでした。

それが、それが・・・・すべては、格差社会のせいなのでしょうか?


お客様とお話していて驚くのが、自己資金の少なさです。


「今のアパートの家賃と同額程度の住宅ローンの返済額にしたい。」

・・・・と、おっしゃるお客様。


そのためには、借入金額をざっと計算しても2500万円ほどに抑えなければなりません。

3000万円の物件を購入するためには、自己資金が500万円+α(諸経費)ほど必要なのですが、


「自己資金ですか?・・・・・・100万円くらいでしたら・・・・・ありますけど・・・・。


自己資金が100万円しかないお客様は、むしろ、家を買うことは危険ですし、購入は無理です。


今、派遣社員の方も増えていると聞きます。

不安定な派遣社員では、住宅ローンも組めません。

ガソリンも値上がり、建材も値上がり・・・・「一億総中流時代」は完全に終わった日本。


・・・・・そんな気がしてなりません。