事務所ビルや工場・・・・特に工場建築の難しいところは、
その工場で作られる商品によって、とても複雑な仕様が要求されるところで
ありまして・・・・。
例えば、
「室内の気圧をいつも正圧に保たなければならない工場。」
「精密機械が入っているため、前面道路を通る車の振動を吸収する緩衝帯を
建物の周りに人工的に作らなければならない工場。」
「作られる製品のサイクルが短く、工場内の生産ラインをフレキシブルに変更
出来なければならない構造を求められる工場。」
「工場内の排水をいくつもの処理槽を通して浄化して排水しなければ
ならない工場。」
「室内結露が許されず、特殊な断熱パネルを使用しなければならない工場。」
「特殊な建材を使うため、初めの設計段階ではとてもディテールが
決められず、工事中に丹念に施工図をおこしながら細部を詰めて
いくしかない仕様の工場。」
・・・・などなど。
ところが、建築基準法とかいう法律は、一般の住宅も、こういった特殊な建物も
全部同じ基準で縛りをかけてくる・・・・困った法律であります。
例えば「シックハウス対策」なんてもんは、そもそも住宅のためにつくった
法律で・・・・これを特殊な建物にも適応させるというのは、
ちと、無理があると、個人的には思う。
また、今回の法改正で、工事中の変更は、簡単に認められなくなった。
これも、住宅ならともかく、特殊な建物の場合はムチャだと思う。
特殊な建物のディテールは、設計中ではなく、工事中に決めるものなので、
変更が生じるのは当たり前なのです。
なのに、なのに・・・現実を知らない官僚や、学識経験者とか言われる人達は
机上の理論で実務の世界を無視して勝手に法律をこしらえてくださる・・・・。
これからの法改正は、大学で研究をしている頭でっかちな学者先生ではなく、
実務家の人達の意見も取り入れて欲しい。
施工図のチェックをしながら・・・・頭の痛い一日でした。