イランがアメリカ軍の基地を弾道ミサイルで攻撃したという衝撃的なニュースが駆け巡っている。本格的にアメリカとイランが干戈を交えるのではないかという危険性を孕んでいる。
そうした情勢の中でも自衛隊の中東派遣は予定通りとの方針。海上自衛隊の護衛艦と哨戒機が派遣されることに変わりわないそうだ。
しかし、派遣を命じる政治家に、派遣される自衛官のリスクをどれだけ切実に認識しているのか甚だ疑問である。
海上自衛隊は中東で情報収集を行うことを任務としている。不測の事態が発生した場合は、海上警備行動を発令して武器使用を可能とする方針というが、そもそも海上警備行動で対処できるのか。
海上警備行動の場合は、武器使用要件は厳しく制限されている。基本的には警察官職務執行法7条と同様なので、武器使用は正当防衛か緊急避難に限られる。
つまり、自衛隊に危害を加える可能性のある船舶や航空機がいるというだけで、撃沈・撃墜するということはできない。攻撃を受けて初めて武器を使用できる。
もし対艦ミサイルや魚雷などによる先制攻撃を受ければひとたまりもない。「不測の事態が発生したら海上警備行動を発令する」というような悠長なことを言っていては自衛隊に犠牲が出ることは確実。
こうした不備を抱えたまま場当たり的に自衛隊を派遣するというのは政治家に当事者意識が欠けている。自衛官が気の毒である。
かつて自衛隊のイラク派遣の際にも、派遣先のサマワは戦闘地域ではないなどという詭弁を呈していたが、全くイラク派遣時と変わっていない。
私は自衛隊の海外派遣については、必要性があれば否定しない。しかし、そのためには現状の法的不備が改善されていることと、自衛官のリスクを低減するための装備や訓練が行き届いていることが絶対条件である。現状ではとてもではないが不十分である。したがって、本格的な戦闘に巻き込まれる可能性のある自衛隊の中東派遣には反対である。