アルプス山脈秘境のニーベルンゲン王国の長い長い闇の歴史は、少女ラオネによって終わった。これからニーベルンゲン王国の光の物語が始まる。
我はニーベルンゲン王アルベリッヒ19世。
我は闇のアルベリッヒから光のアルベリッヒとなるだろう。
ニーベルンゲンに光あり、これ以上なにを望む?
地球?そんなものすぐにでも手に入る。
いいや、我をニーベルンゲンを、光へと導いたひと、
その名はラオネ、聖女ラオネと言おうか。
ラオネ……ラオネ……愛しい我のひと……
ラオネがいない世界なぞいらぬ。
陛下、なにしずんでいるのですか?
国の莫大な借金はここニーベルンゲンで発掘された、
ダイヤモンドで全部返済できてむしろ国庫は黒字であります。
思い悩むことなんて、ありません。
そうだな、近衛隊長タンクレーディのいうとおり、
我はとても小さなことで悩んでいる。
まあ、小さなことは小さなもので解決するだろう。
あ~あ、今では陛下は真面目に順調に国務をこなしているし、
ニーベルンゲン王国は以前より富む国となったのに、
な~に陛下は思い悩んでいるのかなあ。
あれはパスカル子爵だ、相談したいことがあるんだ。
やあ、近衛隊長タンクレーディ君、新しい衣装似合うね。
……陛下は恋で胸を患っているだけだよ。
しかも損得なしの純然たる稀有な恋の類。
あの、ラオネ様、ニーベルンゲンの救世主の彼女のこと?
陛下とラオネ様は別れて、離れ離れになっているはずじゃない。
近衛隊長タンクレーディ君、
キミは一体、男女の微妙なことわかってないねえ。
パスカル子爵、その手のなかの指輪は何?
陛下に頼まれて研究所で開発したものさ。
それから数日後ニューヨークでは
あのあとのニーベルンゲン王国は安泰。
まるで夢のような出来事だったわ。
今は夢からさめたような感覚。
ロマンスもあったかな……。
お嬢様、お嬢様宛てのお届け物があります。
なあに、ばあや。
これはなにかしら、ニーベルンゲン産ダイヤの指輪だわ!
きれいなダイヤね~。
さてと、指輪を外しておこう。
ちょっと、この指輪、外れない。
まさか、本当に外れない!
これってまた指輪の呪いなの!?
はい、陛下、あの指輪があれば、
ラオネ様が何をしているか、何処にいるか全てわかります。
研究所で開発した極小のコンピューターが、
あの指輪に内蔵されており、
さらに極秘のパスワードを解かない限り、
絶対に外すことのできないつくりにもなっています。
これで我もニーベルンゲン国民も安心して眠ることができる。
パスカル子爵、ごくろうであった。
こうしてニーベルンゲンの物語は再び続く。今までとの違いといえば、ニーベルンゲンが呪いだの罪だの罰だの、そうした類の闇がないこと。それだけだ。
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