私はアンティーク風ドールが嫌いだった。嫌いだった理由は経済的な意味だった。贅沢すぎると考えていた。とてもキレイだけど、とても高くて自分には手の出せない贅沢品にみえた。

 ジェニーのシリーズでもアンティーク風ドールもあったけど却下。ただ物欲だけあおられる恐怖があったから。昔浅草橋人形店トトコさんでもアンティーク風のオリジナルドールがあった。トトコさんのアンティーク風ドールは意外と出来栄えにしては安かった。だから私はトトコさんでアンティーク風のドールとドレスを安心して買った。後日トトコ社長は商品に工夫したことを私に語ってくれた。当時子どもでもなんとか買える値段と良い品質に頭が下がる。

 それ以外のアンティーク風ドールは買わなかった。あのトトコのお店が奇跡の値段であって、それ以外はやっぱり高かった。しかしその後ノアドローム社でもアンティーク風ドールが発売されて、これまた品質にしては値段が安かったので購入。後日ノアドローム社長も商品に工夫したことを私に語ってくれた。

 どうもアンティーク風ドールやドレスに抵抗ある私。どうしてもアンティーク風は高い、贅沢だと決めつけている。トトコもノアドロームもあんなにリーズナブルで品質の優秀なものを出しても、私の偏見はなかなか治らなかった。

 ある人形のイベントで、アンティーク風ドレスを売っている作家さんを見つけた。この作家さんの作品はじつは以前から知っていたが、当時は展示のみの作家さんと勘違いしていた。一点だけ売っていた。そのほかは完売して一点だけ。お値段8千円。私は失礼ながら値切ろうとしたが、8千円で買った。

 8千円のアンティーク風ドレス、高いなあといって家に帰ってあけてみたら、世界最高レベルの総裏仕立てのアンティーク風ドレスだった。なんなんだー!この作家さん、すごすぎる!8千円?安すぎるよー!

 こうして私はその作家さんの熱烈なファンとなり、午前11時にイベントが始まるときは朝の4時半にベッドから起きて6時前に電車、朝の7時にはイベント会場に着いて待っていた。これは5年以上続いた。

 その作家さんにはまって、その作家さんの作品は20点ほど持っている。しかもすべてアンティーク風ドレス。この作家さんの作品は常に1万円以下、正直値段がついているようでついていない究極の衣装。これなら何十万円といってもいいくらい幻の作品だった。

 アンティーク風のドールやドレスをずっと嫌って怖がっていた私。その心理の理由は強すぎる憧れのせいだったようだ。写真の人形はトトコ製縦ロールマリーンで衣装はその作家さんのアンティーク風ドレス。まさに伝説だ。





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