アルベリッヒの放火で、神殿は三日三晩燃えて、灰と化した。

しかし、一組の男女の遺体、その跡さえなかった。

ラオネとアルベリッヒ、彼らはどこに行ったのだろう?




$マダムゴマの祈りと人形の日々


「ラオネ、いいや、聖女ラオネ様のご判断は全くかないません。

こうして我々は生きて天の国へ行ったのですから。

聖人たちや天使たちまで話題になっています。」

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「ふふっ、マスタード種の信仰だけと、あなたは言いましたね。

残念ながら、聖都ディーンではそれすら持っていない。

彼らは、神殿や至聖所のことが頭いっぱいで、

肝心の信仰は無かったのです、失っていたのです。」


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「彼らも、いつか本当の信仰を持てるよう、祈りましょうね。」



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「また祈りですか?

あのときはそれしか手段がないから、仕方なくやっただけです。」

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「いいえ、聖女ラオネ様、おゆるしください!」



「そうね、人は自分が愚かで手段がそれしかないとわかれば、

神への信仰がより強くなるのです。

私も、恋愛が禁じられてる身なのに、あなたと毎晩会って、

じつは苦しんでいました。

でも、その苦しみがあってこそ、成長できる。

欠点や悩みが無いほうが、実は、心が神から遠ざかってしまうのです。」


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「ああ、わたしこそ、あなたに失礼なことを言ってしまいました。

どうか、気を悪くなさらないで。」

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「では、償いとして主人である聖女さまの口づけの許可を公に、是非・・・・・・。」



「大きな声ではいえないけど、アルベリッヒのバカ。」


                                     完